花はもみじに思う所がある
朝、目が覚めて
まだ焦点の合わない瞳で
私は
また
あなたの陰影を探してしまう
私は弱いから
そっと伸ばした手は
刹那の躊躇いと共に空を切る
あと少しの勇気で
あなたに届く事は知っているのに
寒さに震えるこの身は
あなたの温もりを求めてしまう
私は弱いから
求めれば
応えてくれるあなたを知っているから
それでも
まだ早い
せめて
ため息が白くなったら
その時は
かじかむこの手を優しく温めて
私は弱いから
はい、ストーブの事ですね。
昨今の物価高騰は考えモノなのですよ。
花は寒さにめっぽう弱いのですよ。
寒いのが嫌いと言うより、もう憎んでますね。
花にとったら日本の四季なんて
弱冬、夏、弱冬、冬ですよ。
本当に寒くなるのや~だなぁ。
ということで秋ですわな、というお話しなのですよ。
花にパートナーがいた頃。
そのパートナーの親御さんがお魚さんを扱うお仕事をしておりましてね。
とある日。
パートナーがビニール袋を提げて帰宅しましたです。
「はい、さんま貰った」
花にビニール袋を手渡して、自分はリビングのテレビを点けてスマホをイジイジイジイジ。
花は考えました。
花はどうにもお魚さんでご飯が進まないのですよ。
全く嫌いとかでは無いのですがね。
どうしても小骨が気になってしまうのですよ。
お魚さん一匹に対して、良くてお
う〜んと考えた結果、さんまの蒲焼を作る事にしたのですよ。
これなら花も白米が進みますわ。
濃い味付けが大好きなパートナーの事もちゃんと考えられておる。
いわゆるwin-winってやつですわな。
ふふふーん。
ドヤァ。
花はさんまの解体に取り掛かります。
頭と内蔵をにゅるーんと同時に取るライフハック的な切り方をした後、良く洗って三枚おろし。
残ってる小骨やヒレは丁寧に削ぎ落とします。
それでも血合いとの境目に小骨が残ってしまうので、気にならないほどにカリッと焼いてしまいましょう。
片栗粉をまぶしまして、揚げ焼きですよ。
同時にタレを作りましょう。
酒、砂糖、醤油、みりん。
照りが出るまで煮詰めますよ。
そこにさんまを入れて
副菜と汁物とご飯と共に並べたら完成なのです。
花はパートナーを呼びましたですよ。
のそのそやって来るパートナー。
食卓を見てこう言いました
「はっ?なんで塩焼きじゃないの?意味分かんないだけど。旬で
花は答えました
「腹わたは捨ててしまいました…」
パートナーは語気をますます強めます
「はっ?腹わたと身を一緒に食べるのが美味いんだろうが!何してくれてんの?せっかくの
花は
「それは…美味しく無いので食べれません」
パートナーは鼻息を荒くします
「でしょ?花がしてる事と一緒!せっかく美味しい物をわざわざ無駄にしてんの!意味分かる?流石の花でも理解出来るでしょ?花が余計な事して、そのものの良さを全部ぶち壊して、ゴミにしたのと同じだからな!」
たぶん
そしてパートナーはスマホを取り出しました。
花がさんまを無駄にしたことを親御さんに報告する様子なのですよ。
花は内心思いました
「わざわざそんな事を報告されて、そりゃとんでもねぇ奴だ!ってなるのかよ?」
はい、なったみたいですね。
「でしょ?そうそう、まじで意味分かんないよね」
なんて事を電話の向こうに言っておりました。
かえるの子はかえる。
良く言ったものなのですよ。
そしてこの場では食べてもらえず。
パートナーはセミナーだったか勉強会だったかに行く予定の日でありました。
送り迎えを頼まれていた花。
行きは会場の玄関前に直接パートナーを降ろして帰宅。
迎えは会場近くの駐車場に停めました。
そして花は会場の玄関前でパートナーを待ちました。
出てくるパートナー。
花を見付けるなり嫌な顔をするパートナー。
車どこ?とパートナー。
それ以外話してくれないパートナー。
無言で夜の街を歩く二人。
花は我慢できずに言いました
「花だって少しでも美味しく食べて欲しくて、考えたんだよ!
パートナーは言いました
「
花は会場を後にする沢山の人達の中で号泣しておりましたよ。
ぶひーぶひーぶひーぶひー、オェッ。
流石のパートナーも許す以外の選択肢が無かったですね。
ですので花はこの季節になると思います
「
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