花の姉さまという知り合い

 花はほとほとどうしようも無いやつなのですよ。

と言いますのもね。


さーて今週の花さんは

二日の寝坊。

二日の遅刻。

二日連続二日酔い。

の三本立て。うふふふふふー


と、阿呆を煮詰めに煮詰めておりましたよ。


 そんな花の座右の銘は


 「気を付けようとも思うし、申し訳無いとも思ってる、だけど反省はしない、なぜなら絶対にまたするから!」


 なのですよ。

これ、むか〜し花が上司に実際に言った言葉ですよ。

お店のオープンをすっぽかした時に言いましたね。


 あと


 「花をあんまり追い込むな!飛ぶぞ!」


 こんな感じの事を言った事もあるのですよ。

常務取締役に。

いやーこの時は色々と言われ過ぎて参りましたね。

てへへへ。


 まぁ全然関係ない話をしたいんですけどね。


 花には十歳年の離れた姉さまがおりますよ。

この姉さまは花が三歳か四歳の頃から一緒に暮らしてなくてですね、なおかつ全然会ってもいなかったので、はじめの頃は何だか「姉と言う名前の他人」って感覚がものすごく強かったのですよ。


幼い花にある数少ない姉さまの記憶。


台所で仰向けに寝かされる花。

花のおなかの上に馬乗りになる姉さま。

おねぇちゃん苦しいよ、と泣く花。

それをけたけた笑いながら見下ろす姉さま。


鬼畜の所業なのですよ。


近所の自動販売機でジュースを買いたい花。

お金なんて持っていない花。

姉さまの部屋へ忍び込む花。

貯金箱からお金をくすめる花。

その日の夜。

金取ったのお前だろと姉さま。

一旦、知らんぷりする花。

信じた姉さま。

安心して笑ってしまった花。


グーの手が飛んで来ましたね。

頭上に。


そんな猟奇的な姉さま。

車の免許を取るとちょくちょく花に会いに来てくれる様になったのですよ。

たぶん車の運転が楽しかったのでしょうね。

免許取りたてってそんな感じですよね。


姉さまは花の小学校まで車でお迎えに来てくれてました。

でもその車が子供ながらに何だか違和感を感じていたのですよ。


姉さまの車 (何に乗ってたか聞きました)

S14

SILVIA

パールパープル

インチアップ

ローダウン

フルエアロ

鬼キャンバー

社外マフラー

フルスモーク


ですって。

みなさんこれ呪文じゃ無いらしいですよ。

花はてっきり召喚獣でも出せるのかと思いましたよ。

バハムートあたりを。


まぁ、俗に言うヤン車ってやつなのですよ。


そのお車で花を迎えに来てくれた姉さま。

近くのコンビニに二人で寄ったのですよ。

お菓子コーナーでお菓子を物色しておりました。


すると棚に挟まれた通路の両端からぞろぞろと男性達が。

もう見た目が完全に恐いお兄さん達でした。


両端から段々と近づいてくるヤンキー。

いよいよ逃げられない程にサンドイッチされてしまいました。


花はもうチビる寸前でしたね。


 すると姉さまが言いました


 「うぃー、なにしてんの?」


 全員、姉さまの知り合いでしたね。

花は怖すぎて喉がギュッとなって何も言えませんでした。

すると姉さまは「こいつ愛想無くてごめんね~」なんてヤンキー達に言っておりました。


俯瞰ふかんして物事を言って欲しいものなのですよ。


そしてなぜか花の家で全員でカレーを作ったのですよ。

カレーを食べたヤンキー達は陽気に帰って行きました。


どうしてそうなった。


 そして時は流れ花は高校生。

アルバイト先に花の姉さまの後輩なる人が。

おかしいな?とは思ってたのですよ。

姉さまとは違う学校の人でしたし。


 その人が姉さまの事をこう言ってたのですよ


 「いやーあの人は本当凄いんだよ。ここら辺であの人の事知らない人なんて居なかったからね。誰もやって無かったから、先駆者ってゆーかパイオニア?的な。今で言うカリスマだったかなー」


 花は思いました


 「あっ、これダメなやつだ。初代って付くやつだ、リベンジャーズだ」


直接的な表現を避けてるあたりが恐かったですね。

姉さま何したん?

って思いましたね。


そんな姉さまも今ではフォルクスワーゲンに乗ってるんだとさ。







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