花はごねる

 花はどうにも「通う」ということが嫌いなのですよ。

うーん「通わなければイケない」という状況が嫌いなのかなぁ?

分からん。

自己分析はむつかしいですな。


一番身近な事だと、通勤通学ですかね。

これは半強制イベントなので諦めますがね。

他には通院だとか、習い事だとか。


小学校の頃、花は習い事に行きたくなさすぎてサボりにサボり倒してましたですよ。

パパうえごめんしゃい。

お月謝の捻出だって大変だったろうにと、今なら思えるのですよ。


 花は脱毛で医療美容サロンに通うことにしたのですよ。

まぁこれがどうにも行きたくないのですよ。

心の底から「めんどくせぇ」なのですよ。

自分で決めたくせに。

天の邪鬼 it's me.


場所が徒歩も合わせて正味一時間強ほど。

エステ脱毛なら近場に沢山有るのですがね。

安心の医療脱毛が良かったのですよ。


 二回目の施術の時の事なのですよ。

前回と同じく受け付けで注意事項が書かれた紙を渡されます。

看護師さんに案内されて施術室へてけてけてけ。

注意事項に該当箇所は無かったか聞かれます。

「はい、ねぇでごぜぇます」

花は言いますよ。

ここまでは前回と変わりません。


 この看護師さん。

 世間話しをする流れで聞いてきました。

 

「一日トータルして一時間くらい直射日光当たる事ってありませんでしたか〜?」


 花はちょっと考えました。

一日トータルしたらそりゃ一時間くらいは日光当たってるがね。


 だから言ってしまったのですよ

 

 「ああ有りましたね」


 途端!

 態度が変わる看護師さん!


 「ならしまいじゃ!しまい!今日は諦めて帰りなさいよ」


表面上は日焼けして無くても、皮膚の下にメラニンが生成されてると火傷になるからと。

最近は脱毛トラブルが多いから厳しくなってるのですね。

それは花も知ってるのですよ。


花は「日焼け止めちゃんと塗ってたし大丈夫ですよ」だとか「直接露出してなかったんで大丈夫ですよ」だとか食い下がりましたです。


これ。

花にしたらめちゃめちゃ珍しい事なのですよ。

普段の花なら大人しく言う事聞くのですよ。

全てにおいて受け身の花なのですよ。


しかし!

だってここで施術が受けられなかったら通う日が一日増えるのですよ。

それはめんどくせぇ!

何としても避けたいのですよ。


しかし看護師さんは首を横に振るばかり。


 花は泣き落としに掛かりました


 「こっここに〜、来るまで〜、いっ一時間以上掛かって〜、たっ大変で〜!おっお願い〜しますぅ~」


施術室から出ていく看護師さん。

はい。

もっと偉い看護師さん呼ばれました。


花の負け戦じゃ!


優しく諭す看護師さん。

つーんとしてる花。

花さんがどうだろうとやらないぞと看護師さん。

伝家の宝刀、困った犬の顔をする花。

無視をする看護師さん。


くそう、若い頃は困った犬みたな顔をしてれば大抵の事は何とかなったのに。

世間は花に冷たくなったものなのですよ。


まぁ諦めて帰ったんですけどね。

何だか日焼け止め面倒くさくてアームカバーで良しにしてた事を見透かされたみたいな気分なのですよ。

とほほなのですよ。


 次の施術日。

受け付けを済ませる花。

タブレットで花の情報を確認したらしき看護師さんに別室へ案内されたのですよ。


 看護師さん


 「お色の確認しますね〜、肌の白い所を出して下さ〜い」


 前腕の内側を見せる花


 「へっへい、こちらがしろぅごぜぇやす」


 看護師さん


 「もっと白い所有るわよね?そこ見せなさいよ」


 花


「ひぃぃ、これは大変申し訳無ぇでごぜぇやす。こちらが一等いっとうしろぅごぜぇやすぅ」


腕と脇の境を見せたのですよ。

花の小癪な考えはお見通しなのですよ。

きっと前回の事で要注意人物扱いになってるのですよ。


カラーコードの紙をペタペタ当てられる花。

濃い色の紙を行ったり来たりさせる看護師さん。

やな予感で脇汗をかく花。

濃い色の紙を行ったり来たりさせる看護師さん。

困った犬の顔をする花。

まぁ良いでしょうと言う看護師さん。


何とか二回見送りは阻止できた花なのでしたよ。


浅はかな抵抗は見抜かれる。

そんな事を勉強した花なのでした。

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