花は縁《えにし》とは何か考える
花はとある所に偶然立ち寄ったのですよ。
本当にたまたま偶然。
まず立ち寄る事の無い場所。
辺りは真っ暗でしたね。
人気も皆無。
するとミーミーと鳴き声がしたのです。
ちょっと遠くから段々と近寄ってくる感じで。
前情報が無いと一瞬では気が付けなかったですね。
花はスマホのライトで足元を照らしたです。
するとそこにはやっとよちよち歩く仔猫が。
と言うよりまだ赤ちゃんでしたね。
三匹の赤ちゃん猫が花の気配に、藁をもすがる思いで助けを求めてきたのですよ。
少し遠くに段ボール。
花は近づきました。
そこにも一匹の赤ちゃん猫が。
この子は他の兄弟たちに、お母さんのおっぱいの代わりにちゅうちゅう吸われてしまって、体にはほとんど毛が残って無かったです。
かさぶただらけで痛々しかった。
花は頭をフル回転させました。
しかし、どう考えても今の花に飼ってあげる事は困難。
花は一度家に帰りタオルやら水を抱えました。
考え得る限り清潔な環境にしてあげたかったのですね。
花が立ち去ろうとすると、段ボールからやっと這い出てきて花を追っかけます。
もう自分の情けなさに鼻水ぐじゅぐじゅでした。
翌日。
花にも一応「母」という生き物の知り合いが居ましてね。
まぁ花には縁もゆかりも無い存在だったんですが、ひょんなことから少しの和解をしたのですよ。
そんな母の住まう箱が花の当時の職場の近くに偶然あったのですよ。
花は仕事終わりにその箱に寄って昨夜の出来事を話しながら
「おーいおいおいおーいおいおい、ゔぇっ」
と泣きじゃくっておりましたです。
すると母という生き物が言ったのですよ
「何してるの!早く連れて来ないと死んじゃうよ!」
花は思いました
「おっとこまえー」
親指を立てて、クイッと、早く行けと花にジェスチャーをします。
花はもう終始泣きながらお迎えに行ったのですよ。
猫さんたちまだ生きてました。
間に合いました。
もう大丈夫だよと、ずっと声を掛けながら帰ったです。
母と言う生き物は猫さん洗うのが上手でしたねー。
花は乾かしてあげる係。
みんなぷるぷる震えて寒そうでした。
体温を保つ力も無かったんだと思うのですよ。
動物病院では生後十日ほどとのことでした。
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