花は憂う

 花は集団が苦手です。

なんかこう、威圧感というか数の圧力みたいなものを感じてタジタジしてしまいます。


 花は愛車の折りたたみ自転車をテケテケと漕いでおりました。

駅へ向かっていたのです。

途中コンビニを横切りましたです。

ちょうど男子高校生がわらわらと出てくる感じでしたね。


近くに私立高校が在るのですよ。

ちょっと偏差値お高めの。


 花は思いました


 「うへ〜やだやだこわいこわい」


まぁでも気にせず通り過ぎたのですよ。

そして信号機が赤で止まったです。


ん、高校生に追いつかれましたね。

七〜八人くらい居ましたね。


 花は


 「うわぁ~自転車暴走族や」


 なんて思ってましたね。


先に行くか、先に行ってもらうか迷ったのですけど、とりあえず今まで通りのペースで行くことにしたのですよ。


ん、なんかめっちゃ後ろにピッタリと気配を感じるぞ。

と思いましたね。


花はペースを上げる事にしたのですよ。


ん、全然かわらへん。

全然後ろにピッタリおるやん。


花はもっとペースを上げたです。

ケイデンス爆上げなのですよ。 

Highケイデンス花なのでぃす。

シャリリリリリィー。

って効果音が聞こえるです。


 すると後ろから聞こえたのですよ


 「アハハハッ追え追えー!」


 花は思いましたよ


 「何?何なに?怖い怖い怖い怖い」


駅までフルスピードなのですよ。

道中も後ろからは笑い声と気配がしてたのですよ。

もう何なの?です。


花は駅に着いて駐輪場へ向かうのです。

さすがに彼等は時間差で来ることにしたみたいなのですよ。


自転車を停めていると何だか段々と腹が立ってきたのです。

理不尽極まれり。

イッタイゼンタイどうしてくれようか。


花は仁王立ちで彼等を待ち構えたのですよ。

駐輪場まで降りてくる彼等。


人ってやましい事があると急に話し出しますよね。

花を視認した彼等も例に漏れず突然と会話を始めたのです。


 「そう言えばさーホニャララ」


何が「そう言えばさー」ですか。

しかもその声は「追え追えー」の人物と同じです。


お前か。

お前が諸悪の元凶か。

花をチビらせたのは。

どうしてくれんだパンツ。


花はよっぽど噛みついてやろうかと思ったのですよ。

歯型を付けてやろうかと。

花という人間の尊厳をその身に刻んでやろうかと。

歯型を見る度に花を思い出し恐れおののけと。

でもさすがにやめたのです。

だって怖いもん。


 花はゆらゆら揺れる彼等の後頭部を眺めながら思ったのですよ


 「どうかこの先の人生は誠実であっておくれ」


ホームで何だか居心地が悪かったのはきっと彼等の方だった。

と思いたい花なのでした。


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