二章。その1『えっ?まさか、この前助けた遥さんじゃん。』

あれから三ヶ月がすぎた。

 今年から長野県伊那市立春ヶ丘高校へ入学した。設立140年を迎える歴史深い高校だ。しかも、昨年度の生徒数が700人。

 田舎高校にしてはとてつもなく大きいマンモス高校だ。

 おまけに進学校。弱点なき高校だ。

 俺は今、その学校へ向かっている。

 自転車で徒歩30分くらいの駅へ12分程度で向かい。1時間一本通っている電車に20分乗り、降りた駅____伊那北駅を降りて、25分ほど歩く。歩いている時に待ち受けるのは地獄の様な坂。そんな坂があることから春ヶ丘高校にが丘と、付いているらしい。まぁそんな事どうでも良いが。 

 それよりも学校遠すぎ、小1時間もかかる。初日だから早く家を出たが、実際そんなに早く家を出た、とは言えない。

 これから入学式がある。

 普段は寝ているが、流石に自分の入学式で寝るのはダメだろ。と思ったので、今日は珍しく起きて受けようと思う。そう……寝ないように。


     

      *



『……この事からら我が校は、以上の事を大切に考え、生徒一同でこの伝統を守り抜いていってほしいです。』

 やばい校長先生の話だっっる。なんだろうな、なんでこんな眠くさせられるんだ?まじで、魔法でも使ってんじゃないの?

 そんなことを考えながらも。目を見開き、聞いてますよアピールをする。

 にしてもみんなうとうとしてるな、辺りを見回すと、立ちながらなてる人もちらほら、本当に校長魔法使えるんですじゃね?

 と思ったのは胸の内、話したら内申点がいきなり下がるかもしれないからな。

『ありがとうござました。次に生徒会長挨拶。』

 凛としたクールな声で次へ話を持っていく生徒会の人、やばいこの人好きかも。

 俺はいわゆる人声惚れをしてしまった。

 ん?なんだ。いきなり辺りが静まりかえる。寝ている人もピシッと姿勢を正す。なんだ?そんなにすごい人なのか?

 そう考えながらも、空気的にピシッとしないといけない、と思ったので取り敢えず姿勢を正しておく。

 そうしているうちに、生徒会長が見える。

 "⁉︎"あの人って。まさか、そんなことはないだろ。髪の毛に若干茶髪が混ざっていて、これ地毛かな?と思わせてくる、容姿は申し分ないほどに整っていてs級美少女

 そして身長が低い。だが体から漂うお姉さんオーラからその身長は決して小さくない、と錯覚させられる人。

 絶対、花園遥さんじゃん。ま、まさかこの

 春ヶ丘高校の生徒会長だとは、信じがたい、だが、現実に起きている以上これが事実なのだろう。こんなに凄い人だったとは…俺は顔が大きく変わる驚きとともに、びっくりして、どんな顔をしているのかがわからない。だが眉は上がっている。それだけはわかる。

 例の彼女が土俵に上がり、辺りを見渡す。

 どこかで習ったのだろうか、えらくマナーの手順が整っている。まぁ、マナーもクソも知らないが……

 そして、俺の方、体育館北側を見た時。

 一瞬だが彼女の眉が上がる。

 新入生が多いし、こんな鮨詰め状態なのに、なぜ俺がいることが分かったのだろうか、視力が高いのかな…俺はもちろん0.6程度、b判定なので見えないが、体育館の意味わからんほど大きいカーテンに彼女の顔がプロージェクターに生で写されているのでわからない訳はなかった。

『寒気の過ぎ去りとともに、咲き誇る桜花が舞い上がってくる季節に変わりゆきました。初めまして。私、春ヶ丘高校二年、花園遥です。』

 ほら、やっぱり遥さんじゃん。てか学校の先輩になるわけだし花園先輩じゃん。

頭がオーバーヒートして頭の上になんか変なやつが踊ってるがそいつは放置だ。

『今年度この学校の目標である、凍結無欠は、寒い冬を耐え抜こうという意味であります。新入生の方々は一言もうしたいと思います。それは…やはり虐め云々です。

 実際駄目絶対!とか、やめようイジメとスローガンを前先輩方が掲げましたが。無くなることはありませんでした。なので決していじめをするな、とは言いません。別にしたければしろよっていう話です。ですが、被害者ともにクラスメイトの生活の害にならない程度、です。それで生活に支障が出た。または、不登校になった、と言われましても。対処がめんどくさいのです。おまけにこの学校の顔を汚す事になります。そんな迷惑になる事をする人はいないと思いますが、取り敢えず話しておきました。どうぞこの春ヶ丘高校で良き青春ライブを送っていただきたいと思います。この学校は文化祭も類を見ないほどに規模が大きく、勿論屋台も出ます。こんな事がある学校で日々を朗らかに過ごしていってもらえれば幸いです。以上話を終了します。』

 長い。長すぎる。だが辛くはなかった。興味を惹かせる言い回しに、普段ならどうでもいい事を底から基準を変える言葉……。のやつやるな。この人がこの前助けた遥さ……花園先輩だとはね。うん、今でも信じがたい。

『ありがとうございました。これにて入学を終了とします。三年生から、各クラスは移動して下さい。』

 クールな声でそう告げる先輩またもやドキッとしまいそうになる。

 さて、これから3年間この学校で暮らすのか、さっき言っていた文化祭の件が気になるが遠く先だ、まずは友だちを作らないとな。三年生がクラスへ戻っているのを見ながら、そんな事を考えていた

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