九話 恋より花

しかし、山名がこんなに焦る様子は見たことがない。余程の理由があるのか、もしかして。


「実は僕、彼女いるんだ。」


そんなところだろうと今、思っていたところだ。


「やっぱりか。山名はそういう感じだと思ったよ。だって、恋バナを柳が始めた時、自分のことなんか気にせず、相手の恋を手伝おうとしてたんだからな。」


「はぁ。山名、お前はすげぇーよ。尊敬するぜ。てか、相談相手になってください、お願いします。」


「別にそんな、俺は恋愛大名とかじゃないよ。普通に恋して、実っただけだよ。」


「まぁ、それでも、柳に対して、アドバイスぐらいはできるだろ?」


「それはそうだけど。」


山名はこのことをあまりバレたくなかったと言わんばかりに自分を否定する。この気持ちは分からなくもない。しかし、俺は恋人やら恋心というものに興味が無いので、気持ちが一概に分かるというわけではない。ただ、山名の気持ちになって考えてみれば、彼女がいることを打ち明けるのは多少ばかり恥ずかしいということだ。


「というか、柳。どんな理由で、島莉さんが好きなんだ?」


柳というイケメン図があるおかげで、俺の倫理観がめちゃくちゃになっていた。島莉さんは正直なところ、美少女と言われても、パッとしない、というところがある。彼女を否定するわけじゃないが、柳と島莉さんを比べてみれば、倫理観のズレが生じる。もし、柳が島莉さんの顔をよく知っていて、それ程、美少女なのであれば、柳は内面を見ていない。柳に限って、そんなことはないと思うが。


「あれは四月の中句。俺が部活中に飲み物が欲しくなって、自販機にいた時、金がないことに気づいたんだ。だけど、島莉さんはそれに気づいたのか、俺の横で何がいいって聞いてきて、俺は少しドキッとした。」


恋というのは、急に始まり、そして、終わる。こういうのは大抵、''一目惚れ''という分類になる。


「何で、ドキッとしたかは分からないんだけどさ、なんか、愛くるしくって。」


恋を知らない俺が言うのもなんだが、恋というのは盲目である。恋をした瞬間、それは自分がその人に好きという気持ちを自覚したということだ。好きというのは好意で、人を愛してしまう。人は人を好きになるために生まれてきたという。だからこそ、その人をずっと見てしまう、見てしまいたくなる。それが叶わなくても、願わなくても、儚く、人は周りを見えなくなるほどの好意が漏れ出していく。


恋は一つの病、とも言えるのか。


「何だかんだで、島莉さんのことを好きになったんだ。」


「柳もそういう気持ちがあるんだな。」


「俺を何だと思ってるんだよ、天宮。」


「…恋奴隷。」


「妙に気持ち悪い造語を出すな!」


「これはいい意味で言ったんだ。」


いい意味というのは、恋をされてしまう奴隷という意味である。ただの嫉妬であり、悪い意味で言うなら、恋は単純な奴隷であることだ。つまり、恋をする奴隷というのが、柳に当てはまるかどうかは分からない。柳の恋は、初恋なのか、それとも二度目の恋というのか。柳の恋を実らすには、柳を知る必要がある。


「柳、お前は今まで恋愛をしたことがあるのか?」


「…すまんがない。」


完全なる、初恋ということが分かった。柳が女っ気がないのは、イケメンを拗らせすぎた結果だ。ウハウハな気持ちをしているやつほど、奥手が多い。もっと俗な言葉なら、童貞。しかし、これは俺の童貞の話では無い。これは柳の童貞だ。何が言いたいか、それは個人個人の童貞の価値は違う。価値観も同様に個人で違うように、童貞という価値の高さが人によって違うのが問題だ。


俺の童貞の価値なんてものは、そこら辺のアリと同じだ。アリが歩いていたら、感想はアリが歩いているということしか思わないように、俺が童貞という認識は、普通ということ。しかし、柳になるとどうなるか、柳の童貞は、ダイヤモンドと同じ、希少な存在だと認識され始める。それは何故か、初心とか可愛いとかなら分かるが、柳の場合、イケメンという認識があるからして、女子のそういうものをグツグツと煮ていく。


簡単に、単純に言うなら、失礼ではあるが、柳の童貞は女子の処女と同じ価値であることだ。


とは言っても、柳がそういう事をやったかは全然、分かってもいない。


「別に謝る必要が無いんだが、そういうことはやったことがあるのか?」


純粋な質問ではあるが、質問の内容は汚れたものである。聞き方がこれしか思いつかない。逆に聞き方を知りたいものだ。考えられるのは、凹と凸を重ねたことはあるかとか、行為をしたことがあるかとか。まぁ別に言及することでは無いのかもしれないが、大人はこれをどう伝えようと言うのだろう。分かりきったことを言うのは、意外にも難しい。ルールも下のネタも。


「やったことあるわけないだろ。俺の純粋な気持ちを汚すな!」


「そんな怒らなくてもいいだろ?」


「きゃっ、天宮さんのエッチ!」


「やめろ。」


柳が裏声でそう言う。昼にこんな話をするのも大概かと、自分で自覚している。


「ま、天宮が手伝ってくれるなら助かる。俺を路頭から救ってくれるのは天宮様ってことだ。」


「大層なもんだな。そこまで、期待されたらやるしかないだろ。」


これから始まるのは、柳の恋物語だ。




午後も変わらず、俺はひとりぼっちだ。それが今になって、活用できる日が来るとは。休憩の間はこうやって机に向かって伏せていれば、勝手に情報が耳に入ってくる。自虐的に見えてくるものがあるが、それゆえ、柳を手伝いたい気持ちが勝っている。自問自答しているようで、少し曖昧な意見だ。柳の恋、それは一つの事件を解決しなければならない程の力が必要だ。その一つの理由として、浜名事件が関与しているからというものだ。


必然的に関与したのであって、こちら側から向かっていった事件では無いことは確かだ。浜名は柳に対して、少なからず恋心を持っているはずだ。浜名の人格を否定する訳ではないが、島莉さんに何らかの被害が加わるだろう。あくまで、予測のうち。浜名は今のところ、学校を欠席しており、動きが見られない。


しかし浜名の心境の方が疑わしい。二つのことを一気に受け取るのは、あまりにも困難である。自分のことと共に、失恋。他人事ではあるが、精神の崩壊が可能性として存在する。浜名は今、自分の気持ちを探しているはずだ。それを無下にすることなど、俺には出来ない。


「島莉さんって、何が好きなの?」


「それって、食べ物?趣味とか?」


「じゃあ、趣味!」


「うーん、これといって特質した趣味じゃないんだけど、本を読むことかな。」


「あー確かに、いつも本読んでるもんね。」


クラスメイトと島莉さんの会話に、一つ要素を加えるとしたら、趣味は大抵、特質したものでは無いこと。持論でもあるからして、言及するつもりもない。本を読むことは趣味として、趣味の範囲として逸脱している。


「じゃあ、好きな人とかは?」


「ええっ、かなりせめた質問するね…。」


「だって、島莉さんも美少女って呼ばれている内の一人なんだから、気になるに決まってるでしょ?」


「うーん、私は別に自分が美少女だって自覚してるつもりは無いんだけど。」


この発言により、島莉さんに美少女という自覚を持ってないことが分かった。やっと、一歩進み出せた。これは俺の恋の価値観ではあるが、自分をあまりよく思っていない、自分のことをよく分かっている女子が一番いい。身勝手な女子より、そうやって自らを蔑んでいる女子の方がよっぽど、性格がいいだろう。


「でも、そう言われてるからそう思うのは普通のことじゃない?みんなが美少女っていう位置付けをしたなら、それは島莉さんに美少女的な何かを持っているからだと思うよ。例えを挙げるとしたら、目が大きくて可愛いとかね。」


「…そ、そんな。」


いかにもそうだろうな。美少女は美少女でいて欲しい。これは願いではなく、思いなのだ。何とも身勝手な思いではあるが、それこそが、真の境地とも言える。


「それで、好きな人は?」


「いないよ。私のことが好きな人を思い浮かばないし。」


「なるほどねぇ。」


声からして、何か意地悪なことを考えてもいそう。それより、島莉さんが好きな人がいないという貴重な情報を聞けたことが一番の発展だろう。ここで、柳が好きとかだったら、簡潔にまとめることが出来たが、現実はそう上手くはいかない。


神の力を持っている俺が現実の話をしても、説得のいかないものだが、この話を誰かに聞くほど、心が成っているわけじゃない。運命触手を使えば、確かに柳と島莉さんをくっつけることは簡単だろう。でも、それは偽りの恋であって、真意の恋では無い。


女々しいとも感じるが、それで柳が下す判断は、''駄目''だろうな。


そんな思考を遮るように、学校のチャイムが鳴る。あのクラスメイトには、お礼を言いたいぐらいに役に立ってくれた。確か、名前は何だっけ。妙に思い出せない。別にそんなに関わる訳でもないからいいんだがな。


放課後、俺はバスケ部に行って、柳にさっきのことを丁寧に教えてやった。しかし、この情報は正確性が不安だ。何せ、人は嘘をつくことが出来るわけだからな。島莉さんがあのクラスメイトの応答に偽りがあるかどうか本人に聞かなければ、意味が無い。


ただ、今回、得られた情報を頼りに島莉さんとの接触を試みることは可能だ。だから、柳にも伝えたし、自分だって、島莉さんに聞くことが出来る。出来れば、柳自身が勇気を持って島莉さんに関わるのが最適解だが、そんなこと、柳に無責任に言えない。責任を感じるということについては嘘だが、柳にはファンクラブが出来ているんじゃないかと思うほどの人気を持っている。他の目を気にしながら、柳は島莉さんと対話しなければならない。そんなの、生き地獄だ。


めんどくさいのも承知、友情臭いのも分かっている。今回は大目に見るとして、俺が島莉さんに直接、話しかける。全く、お人好しが移ってしまっている気がするのも気に食わない。あの場で柳を手伝うと言ってしまった以上、何かしないと気が済まない。


「だから、お前が嫌いなんだ。」


「急な悪口!?」


柳はもっと俺に感謝した方がいいぞ。




運命触手のおかげで、島莉さんの大体の行動を把握していた。神の力であっても、これはストーカーと呼ばれる部類なのではないかと思っているところだ。言動にそれは見られなくても、非科学的なものでそのような行為を示したら、それはもうストーカーだ。いや、この際、ストーカーでも何でも、運命触手とかいうふざけた能力を持っている時点で怪しいやつだ。自覚してしまおう、俺はストーカーしている。


島莉さんは放課後、どうやら学校の図書室にいる。海波さんグループと居ると思っていたのが、宛が外れた。話しかけるのも難しいとは考えていたが、案外、簡単に話しかけられそうだ。図書室なんて、今どき、誰も入り浸るとは思わない。本はその筆者の考えや思いで出来ている。俺の変な思想を認めてくれる本がいくつあるのか、それは少し杞憂でもある。


体育館から出ていき、図書室へと向かう。その途中で、例のクラスメイトと出会った。


「こんにちは、私は役常相。サガでいいよ。」


「…俺は天宮公。」


「じゃあ、公君でいいかな?」


「馴れ馴れしいですね。」


「敬語って、同級生だよ?」


「でもまぁ、初対面ですし。かと言ってもクラスメイトではあるわけですが。」


「なら、敬語はやめるべきだと思うよ。」


「分かったよ、で、何の用だ。」


「いきなり敬語をやめられてもびっくりするけど、まぁいいや。島莉さんの所に行くんだよね?」


「何で、お前が知ってるんだ?」


「んー、乙女の勘は鋭いって聞くでしょ?」


「勘だけじゃ、説明出来ないところがあるだろ。」


「どうかな?勘ってかなり都合がいいようにできてるから。公君が思っているよりかはいくらか多言出来る。」


「じゃあ、その勘に聞くが、俺にそれを聞いて何が目的だ?」


役常相。彼女の身なりは特筆としたものは無い。それは彼女に対して、失礼なのかもしれないが、お世辞を言うにもあまりにも普通ということだ。それに、ブスとかそう言われる立場でもなさそうな顔で、セミロングの黒髪に可愛いと思う以外の要素があるとすれば、仕草だ。


美少女と呼ばれるものは顔がいいのか、性格も含めてなのか、それが定まっている話は聞いたことない。その中に仕草が含まれているとすれば、こいつはそれなりの奴だ。髪の先端を指でくるくるとして、少し屈んで、上目遣いでこちらを見てくる様は明らかに狙っているようにしか見えない。少し、馬鹿にしているようにも見える。


「目的?そんなの決まってるじゃん。」


屈んでいたのが姿勢を取り戻して、ニヤッと悪い顔を浮かべる。こういう顔を何度か見てきているからと、思ったがあまり思い出したくない。この顔が過去と照らし合わせて、そうなるとは限ったことでは無いはずなのに、意識してしまうのは俺の一線の狂いだ。しかし悪い顔をしているのは他にもよらないこと。曖昧なことに突っ込むのも、自分をより気持ち悪さに漂わせる。彼女に曖昧な部分があるとなれば、それでいい。


「島莉さんの恋愛事情だよ。」


「は?」


「嫌だなぁ、公君。私は乙女と言っただろう?それに、私は柳君の事情を知っている。」


聞かれていたのか。そう思っても、あの場には女子すら存在しなかったぞ。


「だから、何なんだよ。俺はあいつの手伝いをしているだけで、島莉さんに関係があるとかそんなんじゃない。」


「それはまだ、公君が島莉さんに関わっていないからじゃないの?私はそれに、公君の邪魔をするつもりでここにいるわけじゃない。私は公君と出来れば、島莉さんをくっつけたいと思っているだけだよ。簡単な話でしょ?」


自分がどれほど正直者を見ているか、彼女は分かっている顔をしている。柳の事情を知っているとするなら、こいつは島莉さんと柳がくっつくのを阻止するために来たんだろう。それが成功するか分からないのに、かと言って、成功率を確実に減らすには外堀を早めに埋めていくことが大事だ。


恋愛において、友達やその環境が全てを有していると言える。自分が変わることより、誰かが自分のことを見てくれることで、関係が発展していくのが大抵だ。前から、その人を気にかけていたなら、変わるだけで結構。この場合、島莉さんがそれに当てはまる。


「俺はそもそも、恋愛に興味を持ったことがない。こういう性格の上、誰とも付き合えないのは目に見えてるだろ?あと、島莉さんと俺をくっつける目的はお前が柳とくっつきたいからだろ。」


「なかなか核心づいたことを言うね。確かに、私は柳君と恋人関係になりたいのは本当だよ。それと別に公君と島莉さんがくっつけば、公君と柳君との友情関係はどうなるんだろうね?恨み愛(あい)の懺悔、かもね。」


「相当、性格が終わってるな。柳に対して、友情があるかどうかは別として、柳に手伝って欲しいと言われている限り、俺はやらないと気が済まない。お前に邪魔されようが、お前に柳と恋に落ちることは許されていない。」


「…まぁ、いいよ。どーせ、私のことを覚えられないんだから。」


「それはどういう意味だ。」


微かに嫌味たらしく言われたのは感じた。だが、言葉の意味合いが少しも理解出来なかった。こんな、役常相という存在を忘れるほどの脳はしていない。その発言に違和感を覚えたのは限りもしない事実である。あまりにこいつに余計な不安を抱えるのをよしたい。こいつに何かをさせてしまうと、厄介なことになる。ただえさえ、こいつは貪りやがる猛獣なのに。


図書室に着くと、予想通り、いや、運命触手通りに島莉さんがいた。ずっと、上の本を取れずに苦戦している様子である。これは関わりを持つチャンスだ。


「この本かな?」


「えっ、あ、ありがとう。」


この本は『魔女の宅急便』、本は見たことなかったが、映画ならたくさんと見たことがある。いまさら、本を読む気なんてないが、原作を読むのもいいだろう。映画とは違う展開を、映画の話より先の話も、この原作なら読めてしまうわけだ。と思うと、この島莉さんとの展開は本のようには上手くいかないように聞こえるな。


「魔女の宅急便、好きなんですか?」


「うーん、好きか嫌いかと言えば、好きだけど…特別に好きというわけでもないよ。」


「そうですか。」


「えっと…天宮公君だっけ?」


「はい。」


「なんでそんなに他人行儀な感じなの?一応、クラスメイトだよね?」


「クラスメイトはクラスメイトでも、初対面の人にはなるべく、敬語でいたいんですよ。こっちとしては敬語の方が疲れないというか。」


誰もがこの理論を理解出来ようとは思わない。これを言及することも無いが、今回に関しては自論ではなく、理由がある。島莉さんとの距離は''知り合い''に収めておくことだ。島莉さんに対しての本人がなんと言おうとも、敬語をやめるつもりは無い。なんとなく、そよそよしい関係が大事だ。


第三者に話を聞きやすいのも同じように俺は頭の片隅に残るぐらいの存在が一番、相談にのりやすいと思っている。そんなやつは今後、関わることがないし、言った方が楽になるものもある。それにそんなやつを追求するつもりもないだろう。


「そうなんだ…。あっ、私に何か用だったのかな?」


「ええ。とりあえず、あそこに座りましょう。」


図書室特有の無駄に大きいテーブルと共にある椅子に座る。人が少ないので、傍から見れば、カップルに見えなくもない。それはそれで、めんどくさい。だが、防ぎようがない攻防を気にするのも、うざったらしい。なるべく、島莉さんとの距離を置くことを意識することだ。変な噂を立てられて、柳が悲しむのは少し、面白い気もしなくもない。


「で、私に何用かな?」


「まぁ、限った話ではないです。島莉さんが本が好きということを小耳に挟みまして、どういうジャンルが好きなのかなと、疑問に思った次第に話しかけただけです。」


「な、なるほど。うーん、あんまりジャンル問わずって感じで本を読んでるから分からないけど───」


と話していると、声が途端に少さくなった。すると島莉さんは顔を赤面して、魔女の宅急便の本を凝視する。


ジャンルを聞いたのは、それによって、趣味嗜好が判明する。人の詮索をするのはあまり、好まれたことでは無い。が、直接聞くよりかはいくつかの段階を飛ばして、話を聞ける。そう、手っ取り早いということ。柳にこのことを伝えれば、柳がそれに合わせることだってできるし、それを工夫して、利用出来る。


今まで言ってきたことは、そもそも、柳がその勇気があるかどうかの話が重要であり、俺がどう、島莉さんがどうということでは無い。柳に期待するのも、意気地無しと貶すのも、彼自身の力だ。友情も、この程度。


そして、島莉さん。何で硬直してるんだろうか。今までに失礼な態度をとった覚えもなく、自分を追い詰めたように話を止めてしまった。


「その、恥ずかしながら…。えっと、恋愛小説が好きで…。」


「おお、いい本をお読みで?」


「べ、別にそういうことが気になるということじゃないけど、うん、そうだね。」


「恥ずかしがることは無いですよ。人の趣味というのはみんながみんな、同じというわけではないですから。個人差があり、あくまで、価値観の違いが植え付けられているだけでしょう。」


「幼稚っぽく思わない?」


「それだと、恋愛小説が幼稚と言っているように思えますが、少なからず、恋愛小説を読んでいる人をそう思う人はいないでしょう。思う人がいるなら、それこそ、自分が幼稚じゃないことを主張したい、ただの大人ぶる野郎です。」


「大人ぶる野郎って、んふふ。確かにそうかも。」


髪で隠れている目が微かに見えて、それが珍しくも、クシャッとなっている。顔の全体は分からないものの、多分、美少女なのは分かる。まつ毛が長くて、目が大きい。笑い方も、美少女だ。明るさを保った目は希望に満ち溢れているようにも見えた。


惹かれている、とは違う。見惚れているとも、違う。多分、答えは神のような存在を見ている。それが最もしっかりとくる解答だった。模範解答があるものなら、教えて欲しい。是非ともだ。在り来りな答えの方が、納得のいく感情理論に至る。決められた答えはそれにとって、納得するものであり、それを定義させる。言わゆる、確証を得たいのが俺の最適解及び、証明だ。


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書くこと書いてしまったら長くなりました

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