第24話 [少女二人、山賊相手に圧倒する]
―エリサ視点―
ワタクシが相手をするのは
距離を詰めれば勝負有り。見つける間、エンチャントされた弾丸を喰らわないように対処しなければならない。
鞘から剣を抜き、空間さえ斬り裂きそうなほどの剣身を露わにする。相手の動きを待っていると、銃声が森の奥から響いてきた。
――ドンッ!
「そこねっ!」
いとも簡単に弾丸を剣で真っ二つにし、それが放たれた方向に向かう。しかし、そこには人影が見当たらない。
早いスピードで起動したとしても、目視で確認できたり気配があるはず。何かおかしい。
――ドンッドンッ!!
再び銃声が聞こえる。
しかし、一つの弾丸は目の前、もう一つは真後ろから飛んできている。
「どうなってるの?」
弾丸を再び斬って考える。
けれど、ワタクシにはアレンのように頭が回らない。一対一の本気のぶつかり合いが一番得意だからだ。けど、アレンに頼りっきりはダメ。
何か、何か考えるのよ!
「っ! そうだわ!!」
ワタクシは剣身を目の前に掲げ、後ろも見えるようにした。
作戦は簡単。弾丸の光が一瞬見えたら猛ダッシュでそこに行き、謎を解明する! 推理とかできないし、これで完璧よっ!
――ドンドンドンドンッ!!!
「【光脚】――!!」
光速で弾丸が見えた方に走り、その正体を確認する。持ち前の動体視力で弾丸を確認したところ、不自然に弾丸が90度回転している。
付与士が弾丸にこういう軌道になるよう指示したのかもしれない。そう思い、ワタクシも90度回転し、その弾丸が飛ばされたであろう場所まで走る。
「ば、バレやがっただァ!?」
「き、軌道読んできた!? バケモノ! ゴリラ!」
二人の影が見えた。
一瞬の隙も見逃さず、剣を構えながら二人に駆け寄る。
「はああああ!! 成敗よっ!!」
死なない程度で二人を斬り、無力化させる。
「ふぅ、こっちは終わったわ。二人は大丈夫かしら」
一息吐き、空を眺めた。
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―ニヤ視点―
呪い持ちで性的欲求をぶつけられないからといってわたしを置物として鎖で繋ぎ、お兄ちゃんを馬車馬のようにこき使って殺した山賊ども。
「殺す……ただ殺すのはもったいない……。一生悔やまれるような傷をつけてやる……!!!」
調理師のやつは牢獄で手が出せなかった。けど、ご主人さまがしてくれた。けど、ここにいるやつらはわたしが手を出せる。
ご主人さまから貰った剣を構えてスキルを発動させる。
「【
「はッ!?」
目の前になぜか暗殺者が無防備な姿でやってきて、相手もバカみたいな声で驚いていた。
このスキルはわたしに都合のいいような展開にするスキル。相手が望んでいなくても、不幸になることでも、体が、世界が、わたしの望む運命に委ねてしまうもの。
――ズバッ。
右腕を斬り飛ばす。わたしのように貧弱でも、ご主人さまの特殊な力で剣が勝手に動いてくれる。
間髪入れずに足の関節部分を斬り歩けなくし、全身をズタズタに斬り刻む。
「グヴァゥァアアアアア!!!!」
「んー……うるさい」
地面て叫ぶ暗殺者の顔面を蹴った後、頭に足を押し付けて首元に剣を添える。
「殺しはしないよー。その代わり、これ飲んで」
「ヴッ!?」
とある真っ黒の意思を無理やり飲ませる。
これは毎秒全身の毛穴に針を刺されているような感覚に陥るうえに一生眠れなくなるという呪いの玉。
ソフィに可愛くおねだりしたら簡単に作ってもらえた。復讐手伝ってくれてお兄ちゃんに似てるご主人さまと同じくらいあの人好き。
「ヴ、ガゥ、ァ、ア、ア゛ア゛!!!!」
「お兄ちゃんのこと殴ったよねー。あと気持ち悪い視線ずーーっとわたしに送ってきてたし。わたしの復讐劇、楽しんでもらえそ?」
はにかんだりしてみるが、もうわたしのことは眼中になく、痛みに悶えている。
やっと、一歩踏み出せた。
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