第15話 [無生物テイマー、復讐に協力する]
「あれ……わたし死んだ気がするけど……。あなた達だれ……?」
「俺はアレン。後ろに隠れてるのはソフィだ。実はかくかくしかじか……」
コミュ障を発動させて俺の背中に隠れるソフィは放っておき、少女に今までの経緯を説明した。
取り乱したりするかと思ったが少女はひどく落ち着いており、あまり真意が見えない子だった。
「……そう。やっぱ死んでたんだ。テイムされたなら……ご主人さま?」
「呼び方はどうでもいいが、そういうことだな。起きたばかりで悪いのは重々承知だが、なんでお前があそこで倒れてたのか教えてほしい」
「わたしは……そうだ、山賊に捕まってた。ねぇご主人」
「ん? なんだ」
「山賊ぶっ殺すのに手伝って」
…………んっ? 今なんつった??
曇りなき眼で表情一つ変えずにそんなことを口走っていたので、俺の耳がおかしくなったと勘違いをしていた。
「えっとだな、取り敢えず山賊に捕まった経緯を教えて欲しいんだが……」
「段取り大事なんだ。めんどいけどいーよ。
えっとー、お兄ちゃんと村で暮らしてたら山賊に襲われて捕まった。わたしは体弱くて呪い持ってたから特に何もされなかったけど、お兄ちゃんに酷いことしてた。だから復讐したーい」
「そう……なんだな……」
随分軽い感じで話しているから重大そうに思えないが、普通に問題だな。村単位で襲われたのなら、山賊側も相当な人数と戦闘力があるだろう。
対策を練らなければ簡単には攻略できないな。
「ひゃわわわわわ……! すごく好戦的な子だったんだね……!?」
「ソフィ、そろそろ離れろ、熱い」
しかし復讐、か。俺はガットらへの復讐は遂行したが、紅蓮の拳にはできていない。復讐に取り憑かれた者の気持ちはよくわかる。
なので、俺は思っていることをニヤにとことん話すことにし。
「ニヤ、復讐は何も生まず、ただ破滅が待っているからしない方が美徳だとされている。
けどな、俺はやられたらやり返すのがいいと思う。復讐せずにのうのうと暮らしていても心の隅では滓が残る、悔恨というなの滓が。だから――手を貸そう、ニヤ。最高の復讐劇を始めようか」
「にひ、ご主人さまってなんか、お兄ちゃんと似てる」
ナースから『精神面で問題が〜』とかなんとか言っていたが、思っていたのとは違かったな。
この子は強い。山賊の恐ろしさを知っているのにもかかわらずやり返したいとは……。
「復讐が終わったらどうすんだ?」
「えー……。めんどくさいから何もしたくない……」
「そういうわけにはいかないだろ」
「じゃあここで働くー」
「だってさ、よかったなソフィ。二人目のギルドメンバーだ」
「や、やったぁ〜! よよ、よろしくね、ニヤちゃん!!」
『復讐したい』とは言っているが、力が無ければ難しいだろう。一体どんな役職なんだろうか。
死体の時は確認できていなかったので、今こっそり【鑑定】を使って確認してみた。
△ △ △
◾︎ニヤ(服従対象:アレン)
役職:
[説明]
・因果律を操作し、運命を変えるスキルを習得することが可能な役職。
・階級はSランク。
※服従対象はスキルの一部を使用できます。
▽ ▽ ▽
「……は……」
因果律を操作……? Sランクの役職……? スキルが使える……?
ソフィとニヤが少し仲良くなって親交を深めている中、俺は開いた口が閉じなくなって脳みそがショートしていた。
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