年を経る 雑音の価値 薄煙
結局は、どうしたって生きていかなくてはならない。
だから私は、簡単に精神的な問題へと話を繋げる人が嫌いだった。
今になって思う。皆それぞれが、日常の余白に心を焼かれていく感覚に蝕まれている。
私の身体中に、他人へ向けてきた針が迸った。人よりも失ったものが多過ぎるという自負に、救われていたはずだった。
無知故に知ろうとしなかったことの罪は、巡り巡って私に注ぎ込まれていく。
病名がつかなかったらと思うと病院に行くことが出来ない。
ただ生きるために腕を切る子、それの切実さを目の当たりにして、私は煙草を辞めた。
いつか、この煙が晴れた時
私はもう言葉を紡げなくなるのだろう。
俳句&短編ストーリー 昼川 伊澄 @Spring___03
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