第6話 真夏のカイン
心地よい桜の季節もあっという間に過ぎ、真夏の季節がやってきました。
ここゼネストポリスでも最高40度に達することもあり、大変危険です。
カインは朝から猛暑なこの部屋で、もさもさキューブに手が付かないでいた。
川の水もピッピ特製の氷を入れたものを何とか飲んで暑さをしのいでいた。
「ピッピ君…」
「はい?」
「今日だけは警備巡回やすんじゃだめかな…」
「そんないけませんよ!このみんなの夏休みの安全はカインさんにかかっていると言っても過言じゃないんですよ!朝私が取って来たもさもさキューブも全然食べてないじゃないですか!」
ピッピは女房のようにピーピー言ってくる。
「分かった…分かったからあれ、頼むよ」
ピッピは小さい袋のようなものを持ってきた。これを帽子の内側と腰に当てて被ると、ひんやりする代物だ。これもピッピの発明だ。
「じゃあ行ってくるね」
カインは事務所の扉を開ける。と、カッと夏の光がビームとなってカインを攻める。
「うわあっ!」
負けないよう下を向いて目的地に向かう。道の途中の中心街は影一つない。中心街から20分ほど歩いた場所に海水浴場がある。エメラルドブルーのように澄んだ水を求めて遠くからやって来る観光客も少なくない。カインはそこの監視員をしにやってきたのだ。
とりあえず泳ぎたかった。とにかく30分だけでもいいから泳ぎたかったカインは、監視台の元でウロウロする。しかし我に返ったカインは仕方なく監視台に登って、双眼鏡を片手に監視をする。おぼれているような子がいたら救助に向かうのだ。背の小さなカインがライフセーバーできるのか?できるんです!
それにしても猛暑の熱がすさまじい。容赦がなかった。もうへたれそうになっていたその時!ピッピが氷水の入ったタンクを持ってやって来てくれた!これはもうナイスとしか言いようがない。持ってきた氷水をゴクゴク飲んだ。
飲んでいると、中心街の少年たちが駆け寄ってくれた。
「お、カインさんじゃん!」
「カインさんも泳ぎなよ!」
「そうだよ泳ごうよ」
カインは泣きそうな目でピッピを見つめる。ピッピはため息をひとつついて、
「私が代わりに監視しときますから、少しだけですよ」
やったー!カインはあっという間にトランクス1枚になり、海水浴を少年と共に堪能したのでした。
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