第4話 成仏
「もっと早く出会いたかったな」隆がキメ顔で言うと、女の霊は「気持ち悪いからそういうのやめて」と一喝した。
サラサラと消えていき、砂のようになった女は小さな竜巻を起こし天に昇っていった。
あんな風に成仏するのか。
でも最後の言葉が気持ち悪いってひどい。
「隆諦めてもう成仏すれば?母さんめんどくさいし。もう髪の毛とか一回分しか無いし」母は片手にキンチョーのスプレーを持ち言った。
「えっラスいち?本当に?」
「ラスいち。次誰に拾われても婚約成立ね」本当は残りの髪の毛を燃えるゴミに出していた事を隆は知っている。
言い終わるとスプレーで撃退された。
母はなぜか巣鴨に封筒を投げ捨てた。
もうすごい愉快犯。
実の母ながら本当にすごい。もうラスト見えてるんだよね。
巣鴨にしては若い60歳くらいの女が封筒に気付いた。
お願い拾わないで。
女は封筒を拾った。はい霊人生終了。
封筒の中身を確認すると大事そうに家に持って帰った。
家はゴミ屋敷だ。
女と隆は白い糸で繋がった。空から糸が引っ張られていく。
もう一人でいいから。この人、母さんの方が歳近いから。
JKとか女教師とか夢見過ぎてた、でも夢見るくらいはいいじゃない。
その晩、女は心不全で亡くなり、天の階段を共に昇っていく。
女は頬を赤らめ「いつかこうなると思ってVIO綺麗にしてたの」と言った。
もうそんなの関係ないから。笑わないで、前歯無いから。
「隆最近こないから成仏したのね」と母は玄関にキンチョーを振りまいた。
「迷婚」心温まるほっこりホラー。 村崎愁 @shumurasaki
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