第3話 こんにちは

次に拾ったのは美しいギャルだったが、隣にはやりらふぃ~でパリピな彼氏がいた。

これはどうなのだろう。中身を見て「キモいー捨てよーヤバイってー」とギャルは彼氏に密着する。


アウトかセーフか迷ったが、とりあえず幸せそうなので呪っておいた。



フラフラとさまよっているとハンカチを落としたサラリーマンに声をかける。

「あの、ハンカチ落としましたよ」サラリーマンは叫び声をあげて逃げ出していった。

「そうか。僕の事視える女子を導いて拾ってもらうのはどうだろうか」隆はピンときた。

それからとにかくナンパをしまくったが全員が視えていない様子だった。


ガクリとベンチで肩を落としていると中学二年くらいの女子が指をさし「あそこに霊がいて、あたし近寄れなーい。頭痛いー」と友達に言っている。


指をさした方向は隆のベンチの正面だ。ポカポカ陽気によくある厨二病。


なんと平和な世界なのだろう。

目をつぶっていると成仏しちゃいそう。半分諦めてるし。

目の前には母が投げ捨てた封筒。


母は最近もう近場で投げ捨てる事が多くなった。余程だるいのだろう。

枕元に立つ度にキンチョーのスプレーを振りまかれる。


「こんにちは」声をかけられ驚いた。

身体が半分うっすらと透けた美しい女性の霊だ。

「あの、そこの封筒って拾えますか?」これはカウントすべきか迷う。

「いいですけど持てるかな?もうすぐ私成仏するんですよ」

女性は拾おうとしたがやはりスカッとしてしまう。


ちくしょう、せっかくの美人なのに。隆は唇を嚙みしめた。

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