第一章 衝撃の出会い
あの日は、朝から太陽が焼き付くように照り輝き、うだるような暑い夏だった。
高校最後の夏休み。僕は数少ない友達と、海へ来ていた。
男三人で、海ではしゃぐ姿は、美しくはない。
美しくはないけれど、とても楽しい時間を過ごしていた。
赤い海パンを履いた男は、小学校からの腐れ縁の、鈴木 健司。健司は、見た目は、ヤンキーだが、とても優しい男で、どちらかというと、いじめられてた僕をいつも守ってくれていた。
青い海パンの男は、中学校入学式の時に、仲良くなった、飯島 翔。こいつは、底抜けに明るくて、周りを楽しくさせる男だ。
そして、黒い海パン姿の男。これが僕。勉強だけが取り柄の何の面白味もない、つまんない、眼鏡の男。橘 真琴。彼女いない歴、10年のモテない男だ。
唯一、自慢出来る事は、身長183センチで水泳をしてるって事。無駄に身長だけ伸びてしまった。
海の中で、はしゃぎ過ぎた僕は、少し疲れ、海から出て、砂浜に置いてあるブルーシートに向かった。
因みに、今は眼鏡をしていないので、いい感じに周りがぼやけている。
ブルーシートに座り、まだ海の中で、はしゃいでいる、健司と翔の姿をぼんやりと見つめていると、ポンと頭に何かがあたり、僕は、声を上げた。
「いてっ……。」
いてっと言ったものの、実際、痛くなく、僕の頭から跳ねて、砂の上にコロコロと転がったのは、ピンクのビーチボールだった。
「すみませーん!」
後方から声が聞こえ、僕は、ビーチボールを拾い、立ち上がると振り返った。
と、その瞬間。
僕の身体をまるで電気が走ったような衝撃が襲い、僕は、手に持ったビーチボールを力無く落とした。
長い黒髪、細い小麦色の肌をした身体。
それを包む、白いビキニ。
そして、太陽にも負けないぐらいに眩しい笑顔。
眼鏡を掛けていなくても、美人だと分かる。
砂浜に転がるビーチボールを拾い上げ、彼女は、にっこりと笑った。
「ごめんなさいね。」
ー生きてて良かったー!!ー
もう愛なんていらない こた神さま @kotakami
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