第153話 第六師団中隊長ゴーディ01
俺は小軍の天幕を後にする。
なかなか話のわかるおっさんじゃないか。
第六将軍アズローは。
やっと俺にもつきが回ってきた。
そもそも中央のやつらは戦争とはなにかわかっていない。
いくら国のため、人民のためと偽っても本質はかわらない。
戦争とは殺し合いなのだ。
殺すか殺されるか、それだけのことだ。
もし、その後いうことを聞かせたければ、恐怖を植え付けるしかない。
友好的な話し合いなど無意味なのだ。
そんなことしていたら寝首をかかれるだけだ。
前回の戦争でも俺は自分の哲学どおりに行動した。
さからうやつらは徹底的に叩いた。
すこし行き過ぎはあったかもしれない。
しかし、それくらいやらなければ泥沼化するだけ。
俺が村を焼かなければ、やつらはまだ戦意を持って反抗してきたはずだ。
とにかく戦いは相手の心を折るにかぎる。
そんな俺たちを待っていたのは賞賛でなく誹謗。
やりすぎを責める中央のやつら。
戦争に勝ったのは俺たちの手柄だ。
それなのに中央のやつらはわずかな報酬を与えて、俺たちを補給部隊に配置転換した。
おまえたちのやり方は古いってことらしい。
古いってことは効果があるっていうことだ。
効果のないことは、二度とやらないもんな。
さて、将軍の許可も得ているし、俺たちの作法でやらせてもらおう。
なんでも、中央は弱兵。
弱いやつらの心を折るのは簡単。
圧倒的な力を見せつけ、見せしめに何人かを公開処刑をしてやれば済む。
俺たちの中隊にはそういうのが得意なやつらがゴロゴロいる。
やつらに王都を切り取り放題という話をすると、歓喜するだろう。
あと、もう一つの中隊も軍で冷や飯を食わされているやつらという。
飢えているだろう、戦いにな。
やつらに与えてやろう。
憂さ晴らしの場をな。
おれは自分の中隊に戻る。
そして、副官フィガロに小隊長を集めるように命ずる。
もう少しでもうひとつの中隊の体調が来るだろう。
そいつが来たらはじめよう。
ここからはスピードが命だ。
パトリック王国の野郎どもに本当の恐怖を見せてやろうじゃねえか。
俺は小隊長たちの前で今回の作戦を語る。
小隊長共は雄たけびを上げる。
こいつらは飢えた狼のようだ。
目の前の獲物を取り上げられ続けているんだからな。
今回は勝負だ。
俺たちだけでパトリック王国を滅ぼそう。
そうすれば、誰にも文句はいわれないだろう。
俺は小隊長たちに戦いの準備を命じるのだった。
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