第147話 帝国第六軍将軍アズロー04

「コウメイのとった戦略ははったりが多かった。

 大軍と見せかけて、旗だけの砦を作るとか。

 最強の武将を集めて、その小さな軍で大軍を破るとか。

 つまり、姑息な戦い方で自軍の力を大きく見せるというやつだ」


「それで今回は」


「たぶん、ウィラードを左翼にまわす。

 または右翼」


「では、中央は張りぼてということですか」


「ああ、今回の戦いで怖いのはウィラードだけ。

 だが中央にウィラードはいない。

 たぶん、敵は中央には八本剣がいるという情報を流してくるはずだ。

 だが、中央にはそんなものはいない」


「それでは、俺たちは」


「中央を突破してほしい。

 2中隊をまかせる。

 やり方は君にまかせる。

 できるだけ、相手に恐怖を植え付けてくれ」


「わかりました。

 その任務、わたしにしかできません」


「そうだ。

 そして君は英雄になる。

 王国を倒した男ということになる。

 もちろん皇帝にも喜んでいただけるだろう」


「では君の下に入る中隊長をすぐに向かわせよう。

 わたしの中隊の中でいちばん強い中隊だ。

 きっと君の下で役に立ってくれるだろう」


 そう、ゴーディ隊と同じく素行の悪い部隊だ。

 きっと君ともウマが合うだろう。

 しかし、腕の方は保証しよう。

 君と同じクソ野郎だがな。


「わかりました。

 俺が中央を突破しましょう」

 ゴーディは胸をたたく。

 

「ああ、期待してるぞ。

 未来の英雄、大隊長にな」

  これで大丈夫だ。

 中央を突破できるだろう。

 もし、八本剣が生き残っていたとしても、失うものは小さい。

 わたしはゴーディに心からの微笑みを向けるのだった。


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