第14話 白銀美桜07

 翌日、朝から練習を行う。

 アイドルってなかなかの肉体労働。

 毎日のトレーニングが大事。

 一種アスリートなところがある。

 基礎練習から舞台の練習まで、みっちりと行う。

 ケガとかしたら終わっちゃうからね。


 そのあと、今日の段取りを覚える。

 メモとかないから、頭で覚えないと。

 でも、苦手なMCとかないから曲の順番だけ。

 曲は何度もやってるから、身体が覚えている。

 それに歌詞はなんか簡単に覚えられるんだよね。

 わたしはあんまり間違ったりしない。

 ときどき、完全にとんじゃうこともあるけどね。

 そのときのごまかしはうまいっていわれてる。


 あと、今日の売上目標は10000ゴル以上。

 日用品とか必要だしね。

 おわったら、買い物にいくことになっている。

 あと、今日は身体を洗わないとまずい。

 宿できいたら、お風呂屋はあるらしい。

 シャワーみたいなものってイメージだけど、ひとり100ゴルくらいするらしい。

 

 じゃあ、めざせ10,000ゴル。

 これは稼がないと死活問題だからね。


 でも、なんか身体が軽い。

 これは若返ったから?

 まあ、いいか。

 今日は10曲でアンコール1曲を用意している。

 宣伝とかしていないから、客の入りが心配。

 まず、一時間前くらいに行って場所取りをする。

 少し裏になるけど、広い場所が確保できる。


 看板とか合ったらいいけど、まだわからないから。

 20人集まったらスタートするって決めてる。

「少し待ってくださいね。

 もうすぐはじめますから」

 観客の集まるのを待ちながら、声で案内する。


「昨日はよかったです。

 また、あの歌やってもらえますか」


「はい。今日もやりますよ」

 少し小太りの若い人が頬を染めて聞きに来る。

 リュックみたいなの背負ってるし、シャツはチェック柄だし。

 この世界にもこんな感じの人いるんだ。


 あっと言う間に、20人くらいになる。

 

「じゃあ、はじめるか」

 わたしたちは円陣を組む。

「よし、異世界での初ライブ、がんばるぞ!」

 美羽リーダーの檄で、みんな自分のポジションに散っていくのだった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る