第13話 白銀美桜06

 緑山詩織。天才的ピアニストにして、元有名なPだった。

 動画配信でいろいろな曲をアップして、神と崇められていた。 

 わたしの歌を聞いて、わたしの曲をつくりたいと言ってくれた。

 その流れでジュエルボックスに入ることとなった。


 詩織はピアノとか天才的にうまい。

 それより、わたしの理解を超えているのは、楽譜とか空で書ける人ってこと。

 なんの楽器もなく、すべての楽器のパートを楽譜に落とす。

 それだけでなく、音楽ソフトを使って打ち込んでいく。

 それだけで、オケが完成する。

 ジュエルボックスのすべての曲は詩織が書いていた。

 だから、ジュエルボックスにはいい曲が多い。

 他のアイドルみたいに、プロの作曲家が大量生産した歌を買うのとはわけが違う。

 きく人がきいたらうなってしまうような編曲がなされているのだ。

 歌詞はわたしたちが四苦八苦して書いている。

 それで、曲のグレードがさがってしまうのかもしれないんだけど。

 ごめん。


「なんか、カラオケほしいなってこうやってたらできた。

 これで、音量とか調節できる。

 楽譜はここでいじるの」

 詩織はいろいろやって教えてくれるがさっぱわかんない。


「じゃあ、これでいろいろな曲できるんだね。

 やったじゃん。詩織」

 一夏が詩織を抱きしめる。

 結果良ければみたいな考えだ。

 

「明日、午前中は練習するよ。

 だから、今日は休もう。

 ここへきたばっかで疲れてるし。

 詩織は10曲分くらい作れる?」


「簡単。

 一時間くらい」


「うん、頼んだ。

 なんかわたしたちにできることあったら言って」


「大丈夫」

 詩織はもう2つ目のボールを取り出している。

 

 それにしても、わたしたちにもなんか能力があるのかな。

 やってみようかな。

 わたしは手に念を込める。

 もしかしたら魔法が使えるとかかもしれない。

 うーんって力を入れる。

 なんかてが暖かくなってきたような、そうでないような。

 もっと力を感じて…


 でも、何も起こらない。

 わたしには魔法の才能なんてないのだった。

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