第12話 白銀美桜05

 歌が終わってお辞儀をする。

 なんか前にコインが投げられる。

 終わっても誰も帰らない。

 次を待っているのだ。


 わたしたちは目で合図をして次の歌を始める。

 これはアカペラの曲じゃないけど、なんとかなるだろう。

 とりあえず、バラード調の歌だ。

 これもわたしのソロが多い。

 これもなんとか盛り上がる。


 でも、ちょっと打合せとかしたほうがいいみたい。

 美羽がパフォーマンスの終わりを告げる。

 また、ここでやってますってことも伝える。

 そう、ここではいちからファンをつかまないと。

 でも、なかなかの手ごたえを感じている。


 わたしたちは目の前の小銭を集める。

 なかなかの数になるけど、たぶん1円とか10円とかだろう。

 こっちの通貨はわからない。

 屋台で飲み物を買うようにする。

 そこでお金のことを教えてもらう。

 

 それで、このコインの読み方を教えてもらう

 全部で5000ゴル。

 銅貨が10ゴル、大銅貨が100ゴル。

 銀貨が1000ゴルってこと。

 飲み物は10ゴル、食事は200ゴル。

 泊りは500ゴルってとこらしい。

 まあ、今晩は過ごせそうだ。


 安い宿を教えてもらって、チェックイン。

 まあ、安いだけあってやばい宿だ。

 でも、ベッドとドアがあるだけでいい。

 ごはんもまあ想像どおり、硬いパンと野菜のスープ。


 部屋に戻って今後のことを打ち合わせる。

 まず、パフォーマンスの内容から。

 向こうの世界でも、ライブのあとは反省会をしていた。

 つぎのライブで改善しなければいけないこととかを出し合って検討する。

 その間、詩織は何かうやっている。


「できたよ。カラオケ」

 なんか透明のボールを取り出す。


「何。それ」

 佐那がボールを持って覗き込む。


「うん、なんかいろいろ作れるみたい。

 これ、能力とかいうやつかも」

 そう言って、ボールをこする。

 そのとたん、ジュエルボックスの新曲のイントロが流れるのだった。

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