第9話 不死の王ノスフェラトゥ01

 わたしは不死の王ノスフェラトゥ。

 この古代遺跡である王の墓を守っている。

 わしも元は人間だったらしいが、その記憶はとうの昔に失ってしまった。

 なんか、王が死んだとき側近であったわしもいっしょに生きたままわちゃわちゃと墓に埋められたような気がする。

 そのときすごい往生際が悪かったみたいだが、そんな昔のこと覚えているやつはいないだろう。


 とにかく、今のわしは不死の王であり、至高の存在なのだ。

 その王の墓に人間の部隊が向かっている。

 1000人くらいか。

 ばかなやつらだ。

 わたしの力を強くするために来てくれるとはな。

 今のわしの軍隊ももとはといえば、墓を盗掘にきた盗賊からはじまり、調査団、小隊とここにきた人間が中心となっている。

 もちろん、ドラゴンゾンビやウルフゾンビ、ゾンビジャイアントなんていうのもいるけど、もともとは人間のゾンビが中心だ。

 っていってももうゾンビじゃなくてスケルトンになってるのが大半だけどね。

 今回も死者を取り込んで、この墳墓はより強くなれるのだ。

 

 さて、わしが言うのもなんだが、人間というのはどうしようもないものだ。

 それで、今回の世界の王たちの会議が開かれることとなった。

 生まれてくる種があれば淘汰され絶滅していく種もある。

 それは自然界の理ではある。

 だが、人間のために滅んでいく種というのがあまりにも多いのだ。

 人間がこのまま数をふやしていくと、とんでもないことになりそうな気がする。

 それで人間を絶滅しようというのだ。

 絶滅は無理でも、数をへらせばおとなしくなるだろう。

 

 それもありだな。

 人間というのはまさにつまらないものだからな。

 確か、わしが王の墓にいれられたのも、王の側近だったからじゃなくて、ミイラにしたら映えそうとかそんな理由だったしな。

 学生のときも学校でうんこを漏らしただけで、うんこというあだ名をつけられていじられてたな。

 それも腹を壊しているときにトイレに行かせてもらえなくて漏らしただけなのに。

 それによくパンとか買いに走らされたな。パンの代金をもらえなかったりしてな。

 好きな子の前でパンツを脱がされたり。

 まあ、昔のことだし、あんまり覚えてないな。

 あれっ?なんか目のあたりが濡れてるぞ。

 がいこつなのに。


 側近のブラックナイトが身振りで敵の接近を教えてくれる。

 わしは、墓の外に出る。

 墓のまわりは一面の砂漠で見晴らしがいい。

 そして、墓の前に1000人の軍隊が押し寄せている。

 

「殺せ!」

 わしは不死の軍に命令する。

 不死軍はゆっくり進み出る。

 そして、激突する。

 まあ、勝てるわけがない。

 人間というものは恐怖を感じるからな。

 わしの軍は痛みも怖さも感じない。

 そして、わしの予想どおり死者たちの蹂躙が始まるのだった。


 

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