第8話 空の女王フェリクス01

 本当に人間というのはおろかな生物だ。

 とくにこの飛空船とかいうやつ。

 うざいんだよ。

 羽根をもたない下等生物は地べたを這っていればいい。

 空はわれら神聖なものの住み家なんだ。

 神にいちばん近い場所なんだよ。

 その空がウジ虫どもに侵され始めている。

 まず、この飛空船、空を飛ぶ船だ。

 なんか魔法で空に浮いているらしいが、飛ぶときに空気を汚す。

 なんか莫大なエネルギーがいるらしい。

 それにエンジンとかいう駆動システムに鳥たちが巻き込まれる。

 なんといっても目ざわりなんだよ。


 わたしは飛空船の横を飛ぶ。

 なんか人間がわたしのほうを指さして叫んでいる。

 ん。なんか船に乗ってる大砲をわたしのほうに向けているぞ。

 

 そう、この人間とかいうのはやたらと好戦的。

 だからよけいにうざい。

 わたしの羽はなんか高値で取引されているらしい。

 それは、これだけ美しい羽根なんだから当然なんだけど。

 だから、わたしを見つけたらやつらは攻撃をしてくる。

 もし、わたしを殺したりできたら、どれだけの値段になるかわからないみたいだからね。

 そんなことできるわけないんだけど。


 これがやつらを全滅させる理由のもうひとつ。

 こいつらは、天使の使いである鳥たちを狩ったりする。

 それもゲームとしてだ。

 それで、わたしは極楽鳥とこの飛空船をみつけたら撃墜することとしている。

 あっちもゲームならこっちもゲームだ。


 それで、極楽鳥が10機、わたしは18機撃墜している。

 さて、そろそろ撃墜するか。

 なんか、飛空船のほうも準備ができたみたい。

 砲弾がこっちに飛んでくる。

 そんなの当たるわけないだろ。

 こっちはずっと空をとんでるんだ。

 やつらの飛空船と違って自由に方向を変えられる。

 わたしは砲弾をつぎつぎと躱す。

 その間に身体に火をまとう。

 フェニックスは別名火の鳥とも言われている。

 そのまま、船に体当たりする。

 そのぶつかった部分が大破する。

 これでバランスをくずしてまっすぐ飛べなくなる。

 弱点は後ろ、ここにエンジンとかいうのがあるらしい。

 わたしは船の後方にぶつかる。

 そのとたん、船は動きをとめる。

 こいつらにとって動きを止めるということは墜落を意味する。

 動いてる限り空に浮いていられるのだ。

 船はおもったとおり機首を地面に向けて落下していく。

 撃墜終わり。

 あ、そうだ、撃墜の証拠が必要だ。


 わたしは船と一緒に急降下して掲げられている旗を嘴に咥え引きちぎるのだった。

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