私のチャンネル史上最高の火力を叩き出すミカツキちゃん
『テルミ、オービルの両者戦闘不能! カローナ・ミカツキペアの勝利!』
私とミカツキちゃんの勝利アナウンスがされると同時に、『決闘』モードが解除される。
『決闘』中は、致命傷を受けてもHPが1残ってスタンするだけであるため、勝った方がPKになることはない。しかも決闘終了時に装備の耐久値も全て元通り、アビリティリキャストも復活と、全部決闘を行う前の状態に戻してくれるのだ。
というわけで、終了と同時にオービルさんの装備も復活!
私とミカツキちゃんに
・……はっ?
・コメントする前に終わってた
・カローナ様のあれを装備なしで受けたらそりゃ死ぬよ……
・相当火力高いな!?
・コメントが追い付かん
・相手さん二人可哀そうだなぁ
・それよりも『せんせんほうかい』とかいうカローナ様のアビリティの威力がおかしい
・超速でカローナ様が駆け抜けたと思ったら装備が弾け飛んでダウンしたからな
・確定装備破壊? だとしたらぶっ壊れにもほどがある
・あのスピードで迫ってきて、当たったら装備全損とか終わりだろ
・カローナ様がPvPするとこれほどか……
「対戦ありがとうございました!」
「ありがとうございましたっす……その、強すぎません?」
「何が起きたのか全然……」
「まぁレベルの差もあるし、レベルキャップ解放したら世界が変わるからぜひやってみてね?」
「分かりましたっす! もっと精進して次は勝ちますからね!」
「オッケー、挑戦待ってるわね♪」
決闘が終了し、私達は闘技場を後にする。
流石に貸し切りってわけじゃないからね……ひとまず他の組のPvPを眺めつつ、ミカツキちゃんや視聴者さんと駄弁るつもりだ。
「お姉さん、やっぱり強いよね……」
「弱いつもりは元からないわよ?」
・自身満々で草
・自己肯定感の高さよ
・そう言い切れる実力があるからなぁ
・この自信もカローナ様のいいところ
「私の場合は、自分のやりたいことを相手に押し付けて、相手に実力を出させない戦法ね。とにかく速攻で攻めまくるビルドになってるから、相手がノっってくるより早く相手を倒す必要があるのよ」
「自分の戦い方がちゃんと決まってるんだね……」
「ミカツキちゃんもちゃんと動けてたじゃない」
「事前に作戦を決めてたし。こんなに作戦通りにいくとは思ってなかったけど」
「最初はそういうものよね。それを繰り返してたら、そのうち戦術とかも思いつくようになるから」
・脳筋のお姉ちゃんが何か言ってる
・こんな説得力ないことある?
・『突撃してから考える!』とか言ってた人とは思えない台詞だな
・綺麗な顔してるだろ? 何も考えてないんだぜ、これ……
「うるさいわよ」
私が戦術の話をした途端にこれって、皆私のことをどう思ってるのかしら!? 失礼しちゃうわね全く……『計画的無計画』って言ってるじゃない。
・でも実際、どういう戦法ならカローナ様に勝てるんかな
・正攻法で当てようとしたら、それこそAGI極振りレベルじゃないと追い付かないだろ
・それ意味あるか? 当てたところでダメージ皆無だろ。いくら本人のVITが低くても鎧が硬すぎて攻撃が通らん
・カローナ様の場合、装備の性能もヤバイからな……
・AGI極振りだと必然的にSTRくそ雑魚だから、どう足掻いても鎧を貫けない
・STRがあってもAGIないとそもそも当たらんしなぁ
何やら、私への対策で議論が活発になってる様子。
……なんだろう、さっきまでブヒブヒ言ってた人達が急に真面目に議論し始めるギャップが……。温度差についていけないからやめてほしい。
しかし、私が苦手な相手ねぇ……。
「やっぱり高耐久のカウンター戦法がキツいかしら。【
・あの威力なんだからそれぐらいないとダメだよな
・それでも余りあるぐらいの強さだけど
・ゆうて『妖仙流』アビ使えば消し飛びそう
「うーん、【
・無理じゃね?
・『鴉天狗』になった瞬間AGI倍やろ?
・そんで掴まれたら炸裂する妖仙流柔術
・アビリティの名前が一々カッコいいのよ
・カローナ様「こくせんはやて!」←カッコいい
「まぁそこは掴まれないように避けてもらって」
……ところで、なんで私は自分の弱点を堂々と配信してるんだろう。
「お姉さん、順番回ってきたよ?」
私が視聴者さん達と議論しながら一人でノリツッコミしていると、ミカツキちゃんからそう話しかけられた。
どうやら私が色々と話している間に決闘が終わり、私達の番が回ってきた様子。
「ありがとうございます、お嬢様」
「っ!/// い、違和感すごいからやめてっ……///」
「えー、せっかくの執事服なんだし、それっぽくした方がいいでしょ」
・ミカツキちゃんが煽らない……だと!?
・男装カローナ様がイケメン過ぎるのが悪い
・ミカツキちゃん、一瞬女の顔になったな……俺じゃなきゃ見逃しちゃうね
・俺もお嬢様になりたい人生だった
・ミカツキちゃんの化けの皮が剥がれた瞬間である
「うるさいです豚さん達」
「ミカツキちゃん、そんな視聴者さん達を黙らせる方法を教えてあげようか?」
「そんな方法あるの?」
「えっとね……」
ミカツキちゃんに耳打ちしてあげると、一瞬目を見開き、そして嫌悪に満ちた表情になる。
「絶対上手く行くから!」
「そんなの……喜ぶ方がどうかしてるよ……」
なんて呟くミカツキちゃんの手の中には、私のマイク『ASdirect』が。
そんで、バイノーラルモード、スイッチオン!
「ス———……ざぁこ♡ ざぁこ♡」
・ぇあ゛っ
───瞬間、ピタリと止まるコメント欄。
よしよし、視聴者さんもこれで満足だろう。
さて、とりあえずまたランダムマッチにして……と。
第2戦目、レッツゴー!
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