ミカツキちゃんと配信開始!
それから3日後、予定の時間より少し早めにログインした私は、【ネプチューン】の街の中の待ち合わせ場所へ向かう。
予告していたからか、ログインしてすぐから多くのプレイヤーに声をかけられてしまった。
えへへ……告知しただけでこれだけのファンが集まってくれるなんて、嬉しいのやら恥ずかしいのやら……。
私も随分有名になったものだ。多分
その方がありがたい。平和にゲームしたいしね。
というわけで適当にファンサしつつ、待ち合わせ場所に到着。すでにミカツキちゃんは到着していたようだ。
「ミカツキちゃん、お待たせ!」
「やっと来た……遅かったね、もしかして迷子になっちゃった?」
「ちょっとファンに囲まれてただけですー。でも、ごめんね?」
「まぁいいけど……あっ、そういえば会ったら聞こうと思ってたんだけど」
「何かしら?」
ステータスウィンドウを開示したようだ。
「私にステータス見せて良かったの?」
「いいんじゃない? どうせこの後一緒に戦うなら知っておいた方がやりやすいし」
「確かにね……で、聞きたいことって?」
「この【
「はへっ?」
おっと、素で変な声が出たぞ。
いや、これはビックリするって!
ミカツキちゃん、まさかの【因子】持ち!?
しかも【
開示されているステータスウィンドウに、確かに表示されている【
「これ、アナザーモンスター倒したのよね……どうやって?」
「えっ? なんか普通に……あんまり強くなかったし」
マジか……私でも"
「お姉さん?」
「あっ、ごめんごめん……ちょっと驚きすぎて思考停止してた。とりあえずそのアビリティは、レベルキャップを解放すると使えるようになるんだけど……」
ミカツキちゃんのステータスを見ると、現在のレベルは55……レベルキャップ解放まではまだまだ遠そうだ。
「そうなんだ……じゃあしばらくは使えなさそうだね……」
「でも間違いなく強いと思うから、楽しみにしておくといいと思うわよ?」
効果は知らないけどね。
その後、ミカツキちゃんと配信の打ち合わせを開始。簡単な立ち回りの仕方を共有しておいて、本番で戸惑わないようにしておく。
さすがに細かいところはやってみないと分からないから、そこは臨機応変に……と言うことで。
「あっ、ミカツキちゃんにもピンマイク付けてあげるね」
「ぁ、ありがとう……本当に配信するんだね……」
「あったり前でしょ! ミカツキちゃん絶対人気出るよ?」
「だって変な人に付け狙われそうなんだもん……」
「さすがに大丈夫だとは思うけどね? ……じゃあ準備は良い?」
「うん」
「3、2、1……スタート!」
ミカツキちゃんの返事を聞いて、時間を確認した私はカメラを起動する。最初は私だけを映して、ミカツキちゃんは紹介後に登場する予定だ。
自動的に私のチャンネルと連動し、いよいよ配信がスタートした。
「皆さん、こんにちは———おぉっと? いきなりすごい数が集まってるね?」
●オルゾ・イツモ:[¥5,000] 待ってました!
●チョロリスト:[¥2,500] キタァァァァァァァァァッ!
・カローナ様のPvPと聞いて
・スペリオルお疲れ様!
・なんか久々な気がする
・スペリオルクエストについて教えて
●テングスタン:[¥3,000] 支援!
「オルゾ・イツモさん、チョロリストさん、テングスタンさん、スパチャありがとうございます!」
配信をスタートした直後から……というか待機の時点で視聴者は2000人、今はさらに増えている。私もこれだけの人数を集められるなんて……ちょっと感動だ。
コメントを見ていくと、やっぱりスペリオルクエストについて知りたい視聴者が多いようだ。
「皆さんごめんなさい。スペリオルクエストについては、『アーカイブ』で総括して公表することになっています。多分もう見られるようになってるので、そっちで見てね。私から言えるのは、レベルキャップ開放についてだけかな?」
・あぁ、なんかアーカイブが発表してたな
・もう見たやつおる?
・ワイ見てきた。内容が衝撃的すぎてな……気になるなら自分で見てくれ
・カローナ様レベル100になったん?
・レベル100越えて何がどう変わった?
・最近ようやく一般プレイヤーにもレベルキャップ開放が行われ始めたな
・やっぱ皆レベルキャップ開放が気になるんやね
・まだペアのプレイヤーの紹介もしてないのに質問攻め
「あはは……一応、今はレベル103ですね。【モラクス火山】でレベル上げしてきました」
・モラクス火山でレベル上げ……?
・あんな地獄、周回する場所じゃないぞ?
・金剛蟹が経験値ってこと……?
・レベルキャップ開放したからこそ周回できるようになったとも考えられる
・何がどうなったらモラクス火山周回できるの!?
「うーん……レベル100になった時にステータスが全体的に爆上がりしたかな? それと、新しいアビリティがいくつか……今日のPvPは、その新しいアビリティと装備の紹介がてらやっていく予定なんよ」
・新しいアビリティとな?
・新しい装備とな?
・確かにカローナ様がPvPって初めてだもんね
・誰かがカローナ様の“初めて”を奪う……だとっ!?
・言い方ぁっ!
・いやだって合法的にカローナ様がボコボコにしてくれるんだろ?
・ご褒美じゃん
・最初からカローナ様に負ける前提で草
・あれだけのPS持ってるカローナ様がレベル100越えてるんだぞ? 勝ち目無いだろ
「っと、喋りすぎちゃったわね。今日は2対2がメインだから、いい加減ペアの子を紹介するわね? ってことで、どうぞ!」
カメラを掴み、ミカツキちゃんの方に向ける。
カメラに映らないところでコメントを見ていたミカツキちゃんはドン引きの表情になっていたため、その表情がそのまま映し出されることとなった。
「お兄ちゃんたち、相変わらず気持ち悪~~い。『ボコボコにされるのがご褒美』とか、言ってて悲しくならないんですかぁ?」
・ッッッッッ!?
・ミカツキちゃん!?
・あっ、あっ
・この蕩けるようなロリボイスと言葉の切れ味は……!
・ミカツキたそ!!
・カローナ様とミカツキたそのペアとか激熱
・この分からせたい笑顔よ
・ブヒィッ!!
・『お兄ちゃん』呼びは、こう……クるっ!
・一気に変態が増えたなww
「あれ、豚さんがいるねぇ? そうやって外にも出ないで女の子の配信ばっかり見てるから豚さんになるんだよ? ほら、画面の向こう側の私にも聞こえるようにブヒブヒ鳴いてみてよ♡」
・ブヒヒヒヒヒヒッ!
・ブヒィッ! ブヒィッ!
・プギィィィィィィィッ
・フゴッ フゴッ
・ブヒヒヒヒッヒヒヒッヒィッヒヒヒ!
「あはっ♡ 気持ち悪~~い♡ww」
「ミカツキちゃん、アクセル踏みすぎ」
「あっ、ごめんなさい。豚さん見たらつい……」
やっぱりこの子、配信者になったら人気出るのでは?
今回は私の視聴者っていう……ある意味
まぁ、ほどほどにしておかないと、やりすぎたら反感買うからね。
「というわけで、私とミカツキちゃんのペアで『決闘』のエントリーしまーす。私達二人に、
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