その翼に誇りを、その瞳に覇天の輝きを 20
「ほら、こっちだ」
「地震の間隔が短くなってきてる。急いだほうがよさそうだネ」
そんな行動を繰り返し、
その途中のこと———
「いぃぃぃぃぃぃぃぃぃっ!?」
「これはビックリだネ!」
「Gyararararararararararara!」
アビリティエフェクトを纏った
案の定、
「あいつ自分がダメージ受けるのも気にしてねぇ! 生き延びるためにドラゴンを狙ってるのに自傷してたら本末転倒だろ!」
「それほどドラゴンが欲しいんだろうネ! うぉっと!」
「いや、キモいキモいキモい!」
大質量の
「すまんスター! ちょっと時間を稼いでくれ!」
「
「Gyarararararara!?」
今度はスターストライプが放ったアビリティが
意外なことに
「Gyararararararara!」
「おぉっ?」
「ナイス時間稼ぎだ、スター。とりあえず石像設置してきた」
「あぁ、だから急に狙いを変えたんだネ。……けどあのままだと、タイタンと一緒に石像もダイブしないかい?」
「それは流石に分かってる。だからこうするのさ! ”天の鍵よ、我が意に応え道標を示せ”」
Mr.Qの全身からダメージエフェクトが弾け、そのエフェクトを吸い込んだ黄金の宝剣はさらに輝きを増す。現HPの8割を削る代わりに、全ステータスにバフをかける。
それだけでなく、アビリティの威力と効果の上昇、リキャストと後隙の短縮など、『勇者』にのみ許された強力な効果の徳用パックだ。
ただでさえエクスカリバーのコストにHPを削るうえ、火口付近ともなるとその高熱でスリップダメージを受ける。
「時間はほとんどない。一発で決めるぞ!」
「Of course!」
「Gyararararara!」
ドラゴンの石像をその手に掴まんと、
「今っ! 【
「【ドゥルガー・スマッシュ】!」
「Gyara?」
そこへ二人がアビリティを叩き込む!
元々バランスが悪い形状をしている
強力なノックバック効果を持つ二つのアビリティを受ければ、容易に体幹が揺れる。
スローモーションのようにゆっくりと
落ちていく
———ズンッと強い衝撃が駆け抜け、続いて大きな地震が発生し始める。
「Gyararararararara!」
「こいつ、火口に【グラウンド・ゼロ】撃ちやがった!」
ただでさえこの場所は、
そこへ
連続して続く大きな地震は、『ターミナル・オロバス』の火山が噴火直前であることを示していた。
「くっ……そっ!」
「んグッ!?」
崩れ行く足場の上でゆっくりと火口へ落下し始めるドラゴンの石像を目掛け、躊躇なく飛び込んで石像をインベントリへとしまい込む。と同時に、左手から伸ばした糸をスターストライプへと絡ませ、必死のバンジージャンプとしたのだ。
「すまん!」
「そういうのは先に言ってほしいネ! 【バタリング・チャージ】!」
【バタリング・チャージ】は、STRやAGIにバフをかけて突進するアビリティである。それを火口から離れる方向へ発動することによってMr.Qを引っ張り上げるのだ。
その目論見通り、まるでカツオの一本釣りのように引っ張り上げられたMr.Qは、空中で身体を翻して着地した。
「ナイスだ!」
「下手したら俺まで消し炭だったんだが!?」
「後で謝るから! とにかく今は———」
逃げろ———その言葉は、直後に鳴り響いた凄まじい爆発音によってかき消された。
身体が吹き飛ぶほどの衝撃波が駆け抜け、少し遅れて灼熱が周囲を包み込む。
噴き出る火山灰と硫黄の香り、弾丸のような火山弾が辺りを蹂躙し、ただでさえ地獄のような光景であった【ターミナル・オロバス】を本格的に
遠く離れた【エウロパ】の街にいたプレイヤー達は、鳴り響いたその災害に思わず目を向け、立ち上る黒煙に全てを察する。
しかしまさか、その噴火に二人のプレイヤーと一体のレイドモンスターが巻き込まれているとは思いもしなかった———
『アネックス・ファンタジアをプレイする全てのプレイヤーにお知らせします』
『現時刻をもちまして、レイドモンスター:
『参加したプレイヤー全員に、アイテム:
『アイテム: 残されし希望 を所持しているプレイヤーに アイテム: 古龍の始原核 が与えられます』
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