その翼に誇りを、その瞳に覇天の輝きを 2
「さて、再び集まってくれた諸君に感謝する」
スペリオルクエストが発生した後、私達3人はしっかりとデスポーンした。やっぱり、あの時HPが0になっても消えなかったのは、イベントシーンを見せるため仕様だったっぽい。
一応終わった後に『アーカイブ』の拠点に集まることになってたから、こうして会議室に集まったわけだ。
「あれ? セレスさんは?」
「それも含めて我がクランの者からの報告だ。アリシア君」
「はい! スペリオルクエスト、『その翼に誇りを、その瞳に覇天の輝きを』。【霧隠れの霊廟】の上で留まっている
「はい。アーカイブのダイモス支部からの報告です。【ターミナル・オロバス】にタイタン型と思われる
「はいはーい! えっと、私はエウロパ支部からでっす! 【カルディネ湖】にウンディーネ型と思われる
「はい、ツヴァイです。私はアーレス本部から。【極彩色の大樹海】にオルトロス型の
「はい、ダイモス支部のティオお姉さんです♡ 【霧隠れの霊廟】の麓に現れたワイバーン型が、空を飛んでこちらに向かってきているみたいなんですよ~。困りますよねぇ」
「実際このワイバーン型が一番厄介でね。空を飛んできている分、他の
「え、それってやばいんじゃない?」
「そうだな。だから、ゴッドセレス君には無理を言って早速対応してもらったよ」
「あー……だからここに居なかったのね」
セレスさんのフットワークが軽くて本当に助かる。これは後でしっかりお礼言っておかないとね。
セレスさんには申し訳ないけど、たとえ分裂体だとしても
「とにかくゴッドセレス君が足止めをしてくれている間に、我々は対策を立てなければならない。そこで、君達プライマルクエスト発生者に意見が聞きたい」
「俺らが……というよりは、プライマル関係のNPCから話は聞けそうだぞ?」
そんなことを言うヘルメスさんの手元には、両手で抱えるサイズの、蓋が閉じられたフラスコ。そしてその中には、黒い靄が集まったような物体に大きな一つの眼が浮かんだ『ホムンクルス』が何かを思い込むように目を細めていた。
「
嫌悪感を隠そうともせず語気を強めて言うホムンクルスに、思わずその場にいた全員が怯む。その言葉があまりにも……あまりにも憎悪に満ちていたからだ。
そんな周囲の雰囲気を知ってか知らずか、独り言のような語りが続く。
「数十? いや、数百年? 私が何とかしてやりたかったが、ついにそれは叶わなかったな……キャロルよ、君はこんな私を許してくれるか?」
「独り感慨に耽っているところ申し訳ないが、質問いいかね?」
おぉ、皆が気圧されているっていうのにジョセフさんが話しかけた。さすがは好奇心モンスター、相手が人間ですらなさそうな謎の物体でも関係無しだ。
「……まずは名乗るのが礼儀だと思うのだがね?」
「それは失礼。私はジョセフ、クラン『アーカイブ』のリーダーをしており、この世界の全てを解き明かしたいと目標を掲げた者だ。君は『ホムンクルス』とやら、だったね?」
「いかにも」
「『ホムンクルス』とは、錬金術の歴史の中でも登場した架空の人造人間の俗称である。君がそうだとしたら、一体君は誰によって作られたのだ?」
「……少しは話ができそうだ。私は他でもない、
「それは何故? 不老不死のため? 自身の技術を後世に残すため?」
「それら全てだ。この私、『フィリップス・ホーエンハイム』という傑物が人類にもたらした恩恵はあまりにも大きい。私を失うことが人類にとっての損害であるのだから」
「フィリップス・ホーエンハイムというのだな。そこまで言うのだ。さぞ高名な―――」
「だがしかし。そんな私の唯一の失敗、拭いきれぬ汚点。それがあの
「ホムンクルス……いや、ホーエンハイムよ。君は
「……
『ホムンクルス』から語られたそれは―――
───かつて、
それと同時に、
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます