4クラン合同会議 2
「ふむ……『ミクロコスモス』に『百鬼夜行』か。そして誰かが発生している『
「『百鬼夜行』は当然妖怪がテーマですね。『ミクロコスモス』と『
「ヘルメスさんの話を聞くに、人造人間では? ホムンクルスと聞けばそれしか思い浮かびません」
「『
「それが正しいでしょうね」
「それより、『霧隠れの霊廟』にいる堕龍と、『眠れる者』の正体について考察しましょう!」
「いやいやいや、それよりMr.Qが撮ったスクショの方がヤバいって!」
ザックリと話しただけでアーカイブが止まらない……。
今のところ、あのヘリコプターを映したスクショに注目が集まっているようだ。
一応、私の持っている『ファンタジア』についての情報は明かしていない。今言うともっと地獄絵図になりそうだし。
「そろそろ堕龍の攻略法を考えて欲しいのだが……」
「おっと、すまない。年甲斐も無く興奮してしまってね。これ程までに
「でもそれだけの情報で攻略法が立つのか?」
「うむ……ではまずは、アネックス・ファンタジアという世界についてまとめようか」
「え、そこから?」
「もちろん。話を聞く限り、プライマルクエストはこの世界の重要な何かを包含している可能性が非常に高い。つまり、この世界についての理解を深めることそのものが、プライマルクエストの攻略に繋がる訳だ」
「そういうものなのか」
「そういうものだ。まずはこのスクショだが……ヘリに描いてあるのは国旗か? 日本、アメリカ、中国、ドイツ、ロシア……主要な大国の国旗ばかりだ」
「これは……例の説が二つに絞られましたね」
「例の説?」
「うむ。要するに、『アネックス・ファンタジアはどんな世界なのか』という考察だ」
「おぉう……いきなり核心に踏み込むね……」
「概要を説明すると、三つの説が
確かに、異世界がテーマなら現実と同じ国旗なんて描く必要などない。これをわざわざ仕込んでいたというのなら、現実との何らかの関係性を示唆しているのだろう。
「二つ目は、『未来の地球』説だ。今のところこれが一番有力でね。裏付けもある」
「はい。我々の計算では、アネックス・ファンタジアの舞台となっている星の円周は約4万km。地球に近い値となっています。とは言え機械もない世界でアナログで計算していますので、±2000kmの誤差を考えるとは地球だとは言い切れませんが……」
「しかし天体観測の結果、観測できる星の位置や光度は、ほぼ地球のものと一致しています。他にも月の大きさもほぼ同じかと……」
「ちょっ、待って。あなた達、この星の大きさとか計算してるの?」
一周回って頭おかしいことを言い出した研究班のメンバーに、私は思わずツッコんでしまった。いや、素直にヤバイでしょ。
『新しいゲーム始めたので、舞台となっている星の大きさを計算してみました!』なんてやるやつが普通なわけないだろ。
「もちろん。地球か否かの議論をする際に、多くの証拠が必要だろう?」
「いや、それはそうなんだけど!」
「
「とにかくこの結果から、この世界の舞台が地球である可能性は高い。……が、今になって矛盾が発生したのだ」
ジョセフの言葉に、全員の視線が集まる。無言のまま、言葉の先を促しているのだ。
「ヘリを見た限り、経過年数はせいぜい数十年ほど。となれば、少なくとも数十年前にはこれ程の機械を作れるだけの技術を持っていたということに他ならない。しかし、それ示す物は他に何も見つかっていないのだよ。果たして、たった数十年で証拠すら残らない程文明が崩壊するだろうか?」
確かに。今のところ、高度な文明を感じさせるものは、スクショを撮ったこのヘリコプターしか見覚えはない。
「さらにアネックス・ファンタジアには、凶暴な猛獣、身の丈よりも大きい昆虫に空を飛ぶワイバーンすら存在する。ここが地球だとしたら、数万年と年月をかければいざ知らず、人間が生存している期間にそれほど生態系が変化するとは到底思えない。何よりそんなモンスターが存在する地球で人間が生き残れるとは———」
そこまで口にしたジョセフさんは、いきなり口を閉ざした。
何か思考を巡らしているのだろう。視線は空中をしばらく彷徨い、他の団員が何事かとジョセフさんに声をかけようとしたその時、再起動したジョセフさんは疑問を投げ掛けた。
「誰か、プレイヤー以外の
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