4クラン合同会議、開幕!
ジョセフさんに案内されるままについて行くことしばらく。到着したのは、『アーカイブ』の拠点だと思われる建物だ。
何と言うか、古い学校みたいな雰囲気だ。教員気質と言うか何というか……多分こういうのが好きな人たちが集まっているんだろうなって思う。
私が通ってる学校もこんな感じだしね。
そして職員室っぽい部屋に入ると……
「んぁぁぁぁぁっ! カローナ様っ! お久しぶりで———何でそんなに嫌そうな顔をしますの?」
「いやだって、狂っ……熱狂的過ぎるファンが待ち伏せしてたら引くでしょ」
「いま『狂った』って言いかけましたわね?」
「まだ言い切ってないわよ。と言うか、なんでゴッドセレスさんがここに?」
「まだってなんですの、まだって! ゴホンッ……もちろん、ジョセフさんとMr.Q様に呼ばれたのですわ! 何でも同盟を組むとかどうとか。こちらのプレイヤーさんもそうですわ」
そう言うゴッドセレスが指し示す先には、銀色の鎧に身を包んだ大柄な騎士が一人。ゴツい見た目とは裏腹にやさし気な目が印象的だ。名前を確認すると……
《Name:お非~リア》
……深くはツッコまないでおこう……。
「これで全員そろったかな。ではこれより、『アーカイブ』、『ディー・コンセンテス』、『銀龍聖騎士団』、『パレードリア』による合同会議を始めよう」
4クラン合同会議?
Mr.Qの話では、私の所と『アーカイブ』の2クランでやると思ってたんだけど?
今この場にいるのは、『ディー・コンセンテス』からMr.Q、私、ヘルメスさんの3人、ジョセフさんをはじめとする『アーカイブ』の研究グループが10人ほど、『銀龍聖騎士団』なるクランの代表のお非~リア、そして『パレードリア』代表のゴッドセレス。
一体この面々で何をするつもりなのか。
「まずは確認なのだが、今回の目的は、この4クランで同盟を組むかを検討すること。で、間違いはないかね?」
「あぁ」
「うむ」
「それで良いですわ」
「結構。では次に各クランの条件を確認したい。『アーカイブ』としては、そちらのプライマルクエストのクリアに向け、全面的に協力すること。『銀龍聖騎士団』はどうかね?」
「PKerクラン『髑髏會』の殲滅に協力して頂きたい」
「PKerクラン?」
「うむ。『髑髏會』は
「この前、カローナ様を狙っていた者プレイヤーも『髑髏會』のメンバーでしたわね」
「あー、あいつらか……確かに私を付け狙ってきて邪魔だったわね」
「最近の奴らの行動は特に目に余る。そこで、実力者が揃う貴殿らに協力を仰ぎたいという訳だ」
「結構。『パレードリア』としてはどうかね?」
「
「えぇ……ファンでいてくれるのはありがたいけど、そんな冗談言ってる場合じゃ……」
「これがなんとマジですのよ」
ゴッドセレス率いる『パレードリア』は、ゴッドセレスのチャンネルを管理するスタッフたちで構成された配信クランだというのだ。
演者たるゴッドセレスの意向がクランの意向であり、しかも
寧ろ、私とのコラボでさらなる動画映えを狙えると、それだけの理由で満場一致なんだとか。
いや嬉しい。嬉しいよ、うん。
でもファンに囲まれた私のゲーム人生はどうなってしまうんだろう……。
「最後に『ディー・コンセンテス』としては、どうかね?」
「『ディー・コンセンテス』としては、こちらが抱えている
「「「えっ……」」」
声を上げたのは、この場にいる『ディー・コンセンテス』以外のメンバー全員だ。
そりゃ、こんな条件の申し出は驚くだろう。何しろ考察を主とする『アーカイブ』にとって、プライマルクエストに参加できるのも情報を貰えるのもプラスでしかないのだ。そんな驚きの声だろう。
「うむ。『髑髏會』は我々も煩わしいものという認識であるし、『パレードリア』は言わずもがな。結論から言うと、私は同盟を組んでもいいと思うのだが……みんなはどうだろう」
「賛成です。と言うか、向こうの気が変わらないうちにプライマルクエストの話を聞いてしまいましょう」
「『銀龍騎士団』と『パレードリア』はともかく、ジョセフさんが小クランとの合同会議をやるなんて言い出した時は何事かと思ったけど、これがあったのね」
同意を得るまでも無く、アーカイブの面々から催促の声が上がる。どれだけ情報に飢えてるんだか……。
「しかしまぁ、手放しで同意するわけにもいかない。早速で申し訳ないが、プライマルクエストについて現状を教えて頂けないだろうか?」
「ま、そうなるわな。こっちの誠意も見せる必要はあるし、その話を始めようか」
そう一言前置きしたMr.Qは、現在進行中のプライマルクエストについて話し始めた。
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