3作目_かみかくし

 一晩明けて……5作目と4作目についての自作語りを読んでみて驚きました……。この人、素人の分際でなんでこんなに得意気に語ってるんだろう……一体何考えてたんだ?本当に気持ち悪いよ。お前の驕りと承認欲求に塗れた面構えを思い出すだけで……


と言いつつやめません。そういうコンセプトの記事(?)なので。


 というわけで3作目「かみかくし」について語ります。




◆かみかくし

文字数:7,028文字

ランキング:ホラーランキング日間1位(2023.6.3)、週間2位(2023.6.9時点)

リンク:

https://kakuyomu.jp/works/16817330657938562612



 初めてまともに『小説』というものを意識して書いたのはこれが初めてで、つまり実質処女作と言えます。

(2作目はショートショート、一作目はアイデアネタの書き出しレベルなので…)


 この話を書くに当たってまず考えたのはストーリーでもキャラクターでもなく「最初の一文で引き込みたい」でした。

 大前提としてやはり素人が書く文章なわけで、期待してくれているにしろ義理で読むにしろ、まず読んでみようとクリックしてもらえる時点でありがたいと思うんですよね。

 で、せっかく第一の関門を突破したのに、出だしの文章で「つまらなそう」と思われたら台無しじゃないですか。挽回が難しいどころか読むのをやめてしまう可能性も高いだろうなと。

 せっかくなら最初でグッと引き付けてそのまま最後まで読ませたい!というかフォロワーに「結構面白いもん書けるやんけ!」と思われたい!期待して読んだ上でガッカリされたくない!

まぁそう考えてあれこれ冒頭の一文に頭を捻った結果、『ハゲたくねぇんだよ、マジで』が出てきました。いきなり開幕で『ハゲたくねぇんだよ、マジで』って書いてあったら引きの強さを感じるかなぁと。少なくとも自分は好きだなと。じゃあこれでいこうじゃん。中途半端はやめよう、とにかく最後までやってやろうじゃん。投げたくなったり諦めそうになったりするだろうけど、絶対に流されるなよ。


 というわけで、じゃあその文章で始めるとして、この主人公はなんでハゲたくないんだろう?普通じゃない理由を考えてみよう!と考えて割とすぐに『髪が無くなることそのものが嫌なのではなく、髪で何か好ましからざるものを隠したがっている』という設定にしようと思い至りました。

 このアイデアが出てきたのは、おそらく自分の個人的な体験に根差していると言いますか、私も身体の一部に手術痕がありまして、それが日常生活では滅多に見えないんですがコンプレックスには感じていたんですよね。創作の中に自分の中身が表出するってこういうことなんだろうなぁと改めて感じました。


 かねてよりホラーを書きたいと思っていたこともあって、上記の流れからオチはホラーにしようと決めました。じゃあタイトルは髪に纏わるホラーっぽいものがいいなと。それで、『かみかくし』ってタイトルにしたらダブルミーニングになるし、ここから開いた時の一文の落差も増すんじゃない?ということでタイトルも決まりました。


 さて、頭とお尻と名前まで決まったらあとは中身を詰めることになるのですが、当然出だしの文章のノリに合わせることになります。そしてハゲたくないという悲しい叫びからも、イメージは中年男性だろうなぁと。結果、年齢の割に口調が粗野で捻くれたような性格のおっさんの文体で書き上げることになりました。

 しかしこれが存外自分の性に合っているなと感じました。これもまた自分の本質に触れたような感覚がありましたね。ツイッターではなるべく丁寧な文章を心掛けているんですが、やはり自分の中には隠せない粗野で捻くれた人間性がどっかりと座り込んでいるんだなぁと改めて自覚しました。創作って面白いですね。

 そんな文章ですが、オチまで気持ち良く運べるようになるべく軽快かつコミカルなものとなるよう意識しました。どこまで実際にできているかは分かりませんが。


 ここからは反省点です。

 これは5作目の「本当に恐ろしいのは人間」の講評でも指摘されたのですが、アイデアを作品の形にするにあたって小説としての面白さを提供できていない、物語の肉付けが足りない、というのが弱点としてあります。

 これは作り方からして「頭とお尻を決めてから中身を詰める」という流れですので、この中身を詰める部分に拙さがあるのだろうなと自分でも思います。

 小説としての面白さ。私なりの捉え方ですが、物語の起伏、主人公の動き・成長、物語のテーマ、このあたりがやはり課題かなぁと思います。


 あと主人公以外のキャラの作り込みが難しいなぁと。部下の女性社員ももっときちんと造形できれば良かったと思います。なんかもうギミックとしての役割しか果たしてなかったので。川嶋はあれはあれで良かったかなと思っています。


 もう一つ。書いている時から自覚していたのですが、お仕事描写が弱い。せっかく社会人なんだからそこはもうちょっと頑張ろうよ、と自分でも思うのですが、なんかいまいちでしたね……。自分の業種を特定されたくない!(ビクビク)という気持ちのまま書いているので、なんかリアリティに欠けるというか。パワハラ描写なんかも、もっとリアルで面白くできたんじゃないか……と思ったりします。社畜エピソードは豊富なのに……。


 そんな今作ではありますが、予想以上に多くの方に読んでいただき、PV数は1,500を超えました。相場は知らないですけど、いきなり小説を書いてこれだけ多くの方に読んでいただけたのは幸甚の至りというほかありません。

 これは純粋な実力というよりも、ツイッターで私が書いたものを読んでくれるフォロワーの方々がたくさんいてくださったことが大きいと思っておりますが、それでも嬉しいことにはかわりありません。

 尊敬するプロの作家さん数名からコメント・拡散いただけたのも大変ありがたいことでした。

 皆様いつも本当にありがとうございます。


 というわけで3作目「かみかくし」については以上です。次はもっと恥ずかしい2作目と1作目について語ろうと思います。

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