第二話 取引
住宅街の中心に居座る小さな
「待ってましたよ。お金は用意できましたか?」男が近づきながら言ってきた。
「いや、無理でした」俺は素直に自白した。
「そうですか……困りますね。じゃあ、私と取引をしましょう」見事に作られた笑顔で提案をしてきた。
「なにを取引するんですか?」恐怖を隠しながら聞いてみると、
「そうですね……私が欲しいのは、あなたの幸福感です」
「それだけですか? 全然いいですよ」もっと大きな物を要求されると思っていたので、拍子抜けだった。学業は中途半端、彼女もいないし、友達もそこまでいない俺は幸福なんて感じていないので、あってもなくても関係ないと思った。
「交渉成立です。借金と引き換えに、あなたの幸福感をいただきます」作り笑顔の恐ろしさが徐々に増してくるので早く逃げ出したかった。『
「怖かった。でもこれで借金も返せたし、よかったよかった。寿命とか視力全部とか言われたらどうしようかと思ったよ」緊張の糸が切れて、独り言があふれ出す。
翌日、目を覚ますと、あることに気が付いた。
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