準備運動11
「おーい、凪 遅いぞー!!」
「悪い」
結局、俺が合流した時はBBQ開始からもう20分近く経っていた
ひとまず、今は...
さっきのことは忘れよう
「もう肉焼けてるよー!!」
和泉さんがトングを片手に笑顔でこちらを向く
和泉さんと翔吾が焼肉奉行なのか...
宮城さ...じゃなくて、櫻は...
あ、翔吾達が焼き終わるのを待ってるのか
まぁ、あの状況じゃ手伝える感じじゃないもんな
で、俺たちが食べる場所は、
椅子がなくて、立って食べる感じなんだよな
それでも、一応机はあるから
食べる時は二人づつ並んでか...
「櫻、隣いいか?」
「...ど、どうぞ」
櫻は若干言葉に詰まりながら
俺も食べれるように少し奥へ行ってくれた
「さー、どんどん食え!!」
俺が食べられる用意が出来たところを見計らって、翔吾がものすごい勢いで肉を皿に載せていく
「よっし、これで大体は肉焼けたぞ」
「じゃあ、私達も食べよう!」
翔吾と和泉さんの肉奉行タイムが終了し
ようやく全員で机の周りに並び立つ
『『いただきます!!』』
「お!! 良い焼き加減!!」
「美味しい!」
全く、この2人はなにか食ってても騒がしいのか...
まぁ、美味しいけど
ふと隣に目をやると
騒がしい2人とは違い、櫻が静かに食べていた
楓にはちゃんと説明されたけど
やっぱり、本人と話すのも必要だよなー...
「なぁ、櫻
俺の目を見た時に何か思ったこととかある?」
「え....?」
唐突な質問に櫻が固まる
「凪くんの目...?」
「あぁ、さっき楓と話した時に
目を見ると安心するって言われて...」
「...確かに、ホッとするかも
上手く言えないけど、心が落ち着くの」
やっぱり、そういうものなのか...?
「さっきの...呼び捨てで────
の話にも少しは関係ある?」
楓にやれって言われたって、言ってたけど
それ以外にも理由はあると思うんだよなぁ...
「...そうかも、しれない..」
櫻はそれだけ言うと、何やら顔を手で覆い隠して目を逸らしてしまう
安心する目...考えれば考えるほど分からなくなってくる
...この容姿が誰かを安心させる?
むしろ、今までだったら逆なんだ
この目は、自分を1人にさせる
でも、今は...
翔吾や、楓、櫻との出会いで
今までとは違う、何かを心のどこかで見つけられたような気がしたんだ──────
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