第二十三話

 必ずまた巡る、この切なる想いをどういたそうか?


 これからの数年、この感情に彼女が気付かないという保証は無い。


 夜毎、忘れようと努めた時代もあった。結局それは叶うことはなく、それどころか気持ちは溢れるばかりであった。


 ただ一刻でも長く、この時間が続けばと、夜宵王は心に蓋をしてずっと彼女の傍にいようと誓った。


 月詠姫に、この気持ちを伝える必要はない。

 一年もすれば彼女は大人になり、それ相応の知識や心の発育が見受けられるだろう。


 今度は何年共にいられるだろうか。



「夜宵王様!」



 月詠姫が見せる笑顔の先に佇む彼は、独り知らず心を殺しながら世界の歯車として生き続けている。


 彼女に向けるこの好意が罰だとしても、夜宵王は想わずにはいられない。それは天命であり、運命であり、彼自身の意思でもあった。


 たとえ、どのような罰を与えられようとも、きっと夜宵王は全て受け入れ、それでも彼女の傍に居続けていることだろう。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る