第2話切り裂きチャック

左源太は、「切り裂きチャック」に、電話した。ドキドキしながら、プロの殺し屋が出るのを待った。5コール目で相手は出た。 

「誰だ?この俺様に電話掛けて来るのは?」

緊張しながら左源太は、 

「殺し依頼ですが」 

「名を名乗れ。そして、依頼者番号を答えろ。どうせ、D3位だろ?」

左源太は依頼者番号の存在を知らなかった。

殺し屋名簿の冊子の表面に

と数字が書いてあった。

「名前は左源太雄大です。依頼者番号はS3 です」  

「えっ?トリプルSの方?」

「そうですが」

「先ほどは失礼しました。普通、トリプルSの方は非通知で依頼が多いのですが、左源太様は番号が表示されて、勘違い致しました」

「詳しい場所は地図をFAXするから、そこの婆さんを殺して下さい。しかし、事故死に偽装して下さいね」 

「は、はい。了解致しました。すみませんが報酬の方は?」 

「……報酬ね。じゃ成功したら1億円でどう?」

「い、1億円!さすが、トリプルSの左源太様。今夜中に決行します。1888年の切り裂きジャックは、私の祖先です。安心して下さい。では、FAX送って下さい」      

 

夜7時。左源太は美代子と談笑しながら夕飯を食べていた。美代子は美味そうにシャンベルタンを飲んでいた。 

【存分に今夜の酒を楽しめば良い。後、数時間後に婆さん、あんたには死んでもらう】    

「いや〜、笑いました。そんなにアナリストや自称クリエイターに不幸が降りかかるのを知らずにねぇ」 

「私はもそう思います」 


切り裂きチャックは、ダイソーで100円包丁買った。セラミックの包丁はカッコ良かった。

懐に包丁を隠し、FAX通りの場所に着いた。

チャックは喫煙しながら、自販機に向かって歩き出した。 

すると、スニーカーの靴ひもが解けていて、結び直そうするとバンランスを崩し前に転んだ。

チャックは、胸の辺りに生暖かいモノを感じた。

セラミックの包丁が突き刺さっていた。

「いってぇ〜。力が出ない。目がかすむ、死にたくない!」チャックは意識がもうろうとしてきた。チャックは路上で静かに死んだ。

翌朝、救急車とパトカーが現れ死体の現場検証がされる。

死因は事故で処理した。 

1週間待っても現れないので、チャックの失敗を悟った。 

左源太は再び殺し屋リストを開いた。

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