第112話 結婚式

 部屋に入ってきたハンスとガクドは隣に座り莉里亜とタツキは隣に座り、二人と対面するように座ることになる。


「それで…結婚するというのはどういうこと何だ???」


「そのままの通りだよ、私…タツキと結婚する」


「お父さんに黙ってか???」


「うん、お父様言ってくれたじゃないですか。私の結婚相手は自由に決めていいって」


 二人は頭を抱えると、たしかに言ったということを思い出す。だが、今回のことは急すぎると二人は思う。


「お父様もお兄様も、認めてくれませんか?」


「んっ??『も』????」


「はい、実は…」


「ランウェル様が、認めてくださらず…」


 タツキはため息を漏らすと莉里亜は頭を抱える。タツキはランウェルと契約しているため主人の許可がなければ結婚する事ができないらしい。


「ならお互いが思いやっているのを見せつけてやれば良くない???」


 莉里亜は振り向くとそこにはアルプトがため息を漏らしながら面倒そうな顔をしている。


「アル、あなたどこに行っていたの??」


「ランウェルの野郎に追いかけられてた」


「なんで???」


「オレがさ、ウルファくんにあげたあの体、それの正体がバレて追われてるんだよね〜〜」


「ウルファのあの体???実際のところあれ何なの???それとあの綺麗なお姉さんも」


 それは、アルプトがウルファを戦力として引き入れるために、莉里亜たちを連れてとある人のところに行った。それは美しい灰色の髪の女性で、自分でさえも惚れてしまいそうな綺麗な人のところ。初め見た時、神の領域だと言われてもおかしくないような場所だった。


「彼女はアリス。オレの元主人だ」


「アルの???!!!すごい人なんだね」


「うん、すごい人…。神であるオレでも、敵わない人だもん」


 アルプトは嬉しそうに言うと、部屋の扉が勢いよく開かれる。入ってくるのは苛立っているランウェルの姿。


「おっとやばい!!」


「お待ち下さい!!!話ぐらいさせてくださいませ!!!!!」


 ランウェルの声すら聞かずにアルプトは消え去る。ランウェルは悔しそうな顔を見せると睨みつけるようにタツキを見る。


「お前の結婚は、まだ許してないからな」


 吐き捨てるように立ち去るランウェルの姿にタツキは大きくため息を漏らす。どう見ても結婚の許可は下りないのだろうと感じる。


「なんか面白そうな気配だね〜〜〜」


「きゃぁ!!!!」


「そんなに驚かないでよ〜〜〜〜」


「ア、アリス様???!!!」


「この人が???」


「はじめまして!!!アリスちゃんです!!!!」


「陽気な人だな…」


「ベラ…じゃなくてアルプトは???」


「逃げました」


「どこに???????」


 アリスは驚いた顔をすると顔立ちが整った男がやってくる。超絶セクシーな格好をしているが平然とした立ち姿をしている。


「俺のプリンセス〜〜どこに行っちゃうの〜〜〜♡」


「あんたは帰りな。アルプトに迷惑でしょ??」


「いやん♡そんな冷たいこと言わないで〜〜〜♡興奮する」


「真顔で言うな」


「この人、こんな人だっけ???」


 莉里亜はアリスを見つめて頭を抱える。初めて会った時は彼の性格はこうでは無かった。大人しく、優しい人というイメージだった。

 苦しそうな表情を見せる莉里亜を、アリスは見つめているとら勢いよく扉が開かれてアルプトとランウェルが入ってくる。


「お前しつこいぞ!!!しつこい男は嫌われるぞ!!!」


「あなた様が逃げるからでしょう!!!」


 アルプトは莉里亜を見つめるとアリスと目が合う。アルプトはビクッと身体を震わせると大きくため息を吐く。


「なんでいるんですか…」


「なんか面白そうな気配を感じたから」


「面白くも無いですよ…来たのでしたら助けてください」


「嫌に決まってるだろ。甘えるな」


 言い切るアリスにアルプトは悲しそうな顔を見せる。その後にアリスの隣にいる男と目が合う。


「ガレオ、お前でもいいぞ」


「俺が助けるのは姫ちゃんのみ♡わかってるでしょ」


「それでもダチかよ…」


「ダチだからだよ」


 騒がしくなってしまった莉里亜の部屋に部屋の主はなんだか楽しく感じる。その様子を見たアリスは莉里亜に寄る。


「それより莉里亜ちゃん、あの君の騎士…名前なんだっけ??」


「ウルファですね。彼がどうしましたか?」


「あの子どこにいるの??身体が機能しているのか確かめようと思って」


「あ、案内しますね」


 莉里亜はアリスを連れてそっと部屋から出ていく。騒がしくしている中の人達は誰も二人が出ていったことに気づかない。


ーーーーーーーーーーーーーーー


 二人は庭園にある武道場でウルファがトレーニングしているところを見つける。


「ウルファ!!!」


「ん??お嬢様!!!」


 ウルファは嬉しそうに笑うと二人に向かって駆け寄ってくる。


「ちゃんと会うのははじめましてだね。私はアリス、よろしくね〜」


「あ、この身体をくれた人ですね。はじめましてウルファと申します」


「どうやら馴染んでいるみたいだね。良かった良かった」


「おかげさまで、かなり助かっています」


 笑顔を見せるウルファにアリスも笑顔を見せる。その様子に莉里亜も笑顔を見せる。アリスとウルファにくれたこの身体の主とはどういう関係だったのかは、今の莉里亜にはわからないが、穏やかな空気が流れているのはわかる。


「そういえば、莉里亜ちゃんはちゃんとウエディングドレス決めたの?」


「あ、そういえば…!でもまだ許可が降りてないので」


「あのランウェルというやつだろ??もし良かったら、私が交渉してあげようか??」


「ですが…」


「その間に莉里亜ちゃんはドレスを決めておかないと。その護衛を連れてね」

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