第109話 真実
黒魔女は叫ぶと
「お嬢様ご無事ですか??」
「ウルファ!!!ルシファー倒したの?!」
莉里亜は驚いているとウルファは首を振って違うということを伝える。
「違うの??」
「はい、なぜだが突然消えたんです。なんか、黒い液体となって…」
戸惑うような反応を見せるウルファに、黒魔女は怒りを見せる。まるでウルファがルシファーを殺したことに怒っているように。
「許しはしない…!!!絶対に殺してやる!!!」
黒魔女は魔法を発動させる。あの魔法陣のバランスを崩したというのに、まだ動ける黒魔女に全員は驚愕する。
「どういう精神しているんだよ…!!」
「リリアン・ネルベレーテの身体を破壊するしかない。ご家族のお方、あとで何度でも謝るからさ…許してくれよ??」
「謝らなくていい!!リリアンちゃんを、そろそろ眠らせてあげてくれ」
ハンスは諦めるように目を伏せるとアルプトは黒魔女に向かって飛び出す。黒魔女はその行動を予測していたのか、ランウェルと自分の位置を変える。ランウェルは慌てて刀を持ち、アルプトの攻撃に耐える。
「しまった!!!!逃げろ
判断を間違えたと感じるアルプトは莉里亜に逃げるように声を上げる。莉里亜は急いでその場を離れようとしたが、白龍と位置を変えられる。そして黒魔女は黒龍と位置を変えて莉里亜の眼の前に立っている。全員はその反応に追いつけずにいる。
黒魔女の手には短剣が握られており莉里亜を殺す前提になっている。黒魔女の身体からは電流が走っており、リリアンの身体が長く持たないことがよく分かる。
「死ね」
黒魔女から出た言葉はたったその一言だけ。短剣を大きく振りかぶると莉里亜は目と顔を伏せる。すると莉里亜の身体に何かが降ってくる。少し暖かく、鉄のような匂いがする。
莉里亜が目を開けると眼の前に見知らぬ男が立っている。その男は黒魔女を抱きしめている。心臓には黒魔女が持っていた短剣が刺さっている。莉里亜の身体には彼の血液だと思われるものが降り掛かっている。
「間に合って…良かった…!」
嬉しそうに笑う彼の口からは少しだけ血液が垂れている。彼の顔を見る黒魔女は驚きと悲しさが顔から出ている。
「ルシファー?!なんで、お前は…!」
「だからか…あの時ルシファーが黒い液体となったのは…!!」
「どういうこと??」
アルプトは悔しそうに親指の爪を噛む。その横でランウェルは驚いた表情を見せている。アルプトは静かにそのことを話す。
「俺達が見ていたルシファーは、あの黒魔女が作った人形兵なんだよ」
「はぁあ!!!まじかよ!!!!!!」
「だからあの魔法陣を破壊した時に、ルシファーが液体となったんだよ。魔力の供給ができなくなったから」
「そうなんだ…。えっ、じゃああの時にはもう…」
「どういうこと????」
「黒魔女様が、黒龍を止めようとした時…ルシファーは、一ヶ月ほど、姿を消していた…。黒魔女様から、絶対に離れない、ルシファーが、勝手にどこかに、行くとは考えられなかったけど、まさか!!!」
ランウェルはルシファーに向かって走るとルシファーは誰にも近づいてきてもらいたくないのか、自身と黒魔女の周りに円柱の形をした結界を張る。その結界は外部の者たちが入れないようにされている。
「ルシファー!!!何しているんだ!!!!」
「だめですよ、ランウェル様…。これは、ボクと黒魔女様の問題なんです。あなた方を、巻き込むわけには、行きませんので」
薄っすらと笑顔を見せるルシファーにいつものルシファーだとランウェルは感じる。本物だと思うと彼一人に責任を押し付けることにランウェルは自分がどれだけ愚かだと感じてくる。
「黒魔女様、たくさん泣かせてしまって…申し訳ありません。これからは、ボクがずっと一緒に居ますから。もう、人を恨まないでください」
「ルシファー…!!!」
黒魔女の目からは大粒の涙が溢れて溢れていく。あの優しいルシファーの声。もう聞けないと思ったルシファーの声。自分だけに聞かせてくれるこの穏やかな優しい声。人間共に奪われた彼の存在に自分を攻め続ける。
ルシファーはそんな黒魔女に口づけをする。少し血の味のするが、優しさと愛おしさがある口づけに静かにルシファーに体を預ける。その瞬間黒魔女の身体は人魂の姿に変わる。
「やっと、抑えられました…これで…ボクも、
ルシファーは上空を見つめると自分の姿も人魂に変わり黒魔女とともに消え去る。結界も消滅して残ったのはルシファーの残り香のように魔力が残っているだけ。
「ルシファー、お前…!!!」
ルシファーが消えたあと、生きる
「生きる
「黒魔女の魔法が消えたんだ」
「ランウェル…」
「ルシファーの記憶、少しだけ見ることができた」
莉里亜は涙を見せると全員にルシファーの本当の記憶を伝える。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます