第40話 逃走

 リリアンはギルを連れて裏方に逃げる。しかしその後を奴隷商人と憲兵が追いかけてくるため、速度を緩めれば捕まってしまう。


「なんで…!!!お父様がここにいるのよ!!!!!」


 リリアンは文句を言いながら走っていると行き止まりの場所までやって来てしまう。扉はあるが、全て鍵がかかっているため、隠れる場所がない。リリアンは焦りを感じる、オロオロとしてしまう。


「どうしよう!!!このままじゃ…!!」


 リリアンは慌てていると奥から憲兵の声が聞こえてくる。リリアンはイフを呼び出し、戦闘を行うことを決める。すると突然閉まっていたはずの扉が開き、リリアンを引き摺り込む。ギルを抱きしめていたため、取り残すことは無かったが、恐怖を感じる。

 彼らがやって来ると、そこにはリリアンとギルの姿がないことに、彼らは辺りを見回す。


「どこに行ったんだ…?」


「確かこっちに来たはずだ!!!」


「部屋の中には居ないのか??」


「ばーか!!部屋は全部鍵を閉めてるよ。向こうを探すぞ!!!」


 彼らが去っていくとリリアンはそっと外を覗く。彼らが居ないことを確認してホッとしながら部屋から出る。


「もう大丈夫よ、おいでギルくん」


 ギルはそっと出るとリリアンに抱っこされる。ギルはリリアンの胸の中が落ち着くようでにっこり笑っている。


「ところで、いつからそこに居たのですか?」


 リリアンを引き摺り込んだのは魔塔の主人あるじヒリリトン。なぜこの場所にいることにリリアンは恐怖を感じる。


「僕はこの場所に探し物があって来ただけだよ公女さん…ウヒヒ!」


「この変なひと、だれ???」


「この人はヒリリトン様、魔導師なんだよ」


「そうなんだ〜」


「リリィ!!!」


 どこからかガクドの声が聞こえてきてリリアンは反応するとヒリリトンは風のように姿を消す。何がしたかったのかと思うが何をとりに来たのかを聞くのを忘れてしまう。

 角からガクドの姿を見るとリリアンは彼を呼ぶ。ギルを抱えていることにガクドは裏口から出れるようしてくれていた。ダンゲルと合流をして四人はギルドに戻る。全員がソファーに腰掛けるとどっと疲れが出てくる。

 ギルはダンゲルに抱きつくとダンゲルはソファーに寝転がる。ギルはダンゲルのお腹の上に乗るとその上で寝てしまう。


「ギルくん、怖かっただろうね…」


「そうだろうな、だけど皇太子が来るなんて考えていなかったよ。大丈夫ですか…??」


「大丈夫そうに見えます?」


 ガクドは頭を抱えるとリリアンは頭が痛くなる。ダンゲルがわかっていないような反応をとっていると、あの会場にネルベレーテ公爵がいたことを説明する。その事にダンゲルは申し訳なさそうにする。


「リリィは変装していたからわからないだろうが…俺のことはバレてるだろうな…」


「お父様が私だとわかっていないと思いますか???」


 ガクドはため息が出ると二人はやる気が出ない。ダンゲルは協力してくれたことの感謝としてこれからの依頼は全て無料で受け取るという。そのことにリリアンはあることを依頼をする。


「ならば、東国のことについて調べてもらえませんか??」


「東国????良いけど、たいしたことは出てこないぞ」


「どうしてですか???」


「あの国、状態だから」


「鎖国…」


 リリアンは予想していなかった自体。リリアンに結婚の申し込むをするぐらいのため、他国とも交流していると思っていたが、予想は外れてしまっている。


「それでもいいわ、調べておいて」


「了解しました、では」


 ダンゲルはカリウルを呼び出し、リリアンに羽を送る。リリアンは理解できていない雰囲気を作ると、ダンゲルはその羽が目印になるらしい。依頼が完了したらカリウルを使って報告をすると伝えてくれる。

 リリアンが元に戻るまでギルドにいることにする。そして翌朝、リリアンは元に戻り公爵邸に戻ることにする。何日かかけて自宅に戻るとハンスはリリアンたちを迎えてくれる。


「ただいま戻りました、お父様」


「おかえり〜〜〜〜リリアンちゃん!!!!!!疲れたでしょ???お部屋に行こうね〜〜〜。でも、なんでガクドの馬車なの???二人で何をしてたのかな????」


 どことなく怒っている様子にリリアンは自分に結婚の申し込みが来ていると言うことを、ガクドから聞いて、帰り辛くなりガクドの屋敷で休暇をとっていたことを説明をする。


「そうか〜でもパパはガクドと話があるから、お部屋に行っていてね〜〜〜」


 ハンスはガクドを見つめるとガクドは頷いて屋敷に戻る。リリアンはメリーと一緒に部屋に戻ると、朝風呂に入るために髪を整えられる。


「お嬢様〜〜お帰りなさいませ〜〜〜〜!!!!」


「ただいま、メリー」


「お帰りなさいませ、お嬢様」


「ただいま、ウルファ」


 リリアンはメリーとウルファに帰って来たことを伝えると、ウルファは扉を開けて出ていってしまう。扉の前で見張りをしてくれているのだろうと思うと嬉しく思う。

 その後にレージュとネーシャはお風呂の準備をしてくれる。湯の準備が終わるとリリアンはその湯に入る。柑橘の匂いが漂う湯船にリリアンはゆずのお風呂のことを思う。ゆずはこの世界には存在しないのだろうかと思うが、東国が存在するのなら、あるのかもしれないと思う。

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