第一天 幼馴染は俺の癒し

 現在はまだ余裕があるので投稿します!


――――――――――――――――――


 俺は「天日」という姓を継いでいるが、凡才である。兄や姉、本家の人たちは優れた才能を有しているが、俺には優れた才能というものがなかった。


 それでも俺は強くなると決めた。なぜなら、この世界には「魔物」という恐ろしい化け物がいるからだ。これは母さんに聞いた話だが、魔物は人の食物を勝手に食べたり、動物や人を襲ったりなどをする害悪な存在らしい。


 そんな魔物だが、この存在を知る人は少数だそうだ。大人数がこの存在を知ってしまうと混乱したり不安になったりしてしまうことが危惧されており、魔物を知っている人は上流階級の人か魔物狩りをしている人、所謂いわゆるハンターと呼ばれる人たちだけ。


 俺……いや、天日家は上流階級に該当するそうだ。また、他に該当するのは、星月家やすめらぎ家、雛鶴ひなつる家などがある。

 俺が知っている上流階級はこれだけだが他にもある。外国の上流階級の人たちも知っているしな。


 ……要するに、俺は魔物を倒すために強くなりたいのだ。


 凡人の俺でも強くなることはできる。才能がある人に劣っているとしても。

 いや、才能がある人と同じ量の努力をしても追いつくことはできないのなら、その人たちの何倍もの努力をすればいいじゃないか!


 3歳の俺は今後の方針を定めた。


   *


 それから2年の月日が経ち、俺は5歳になった。あれから努力を続けることで強くなったと思う。まだ特殊技能スキルは使いこなせてないけどな!


 ちなみに、特殊技能スキルは生まれた頃から備わっているものと、後から手に入るものの二種がある。また、特殊技能スキルの所持数が1つだけの人もいれば、幾つか所持している人もいるぞ。


 俺の所持している特殊技能スキルは『天日てんじつ』と『早熟』、『一念通天いちねんつうてん』だ。『天日てんじつ』以外は一般的な特殊技能スキルである。『早熟』の能力は文字通り。『一念通天いちねんつうてん』は、強い信念をもってたゆまず努力を続けていけば必ず報われるという能力だ。


 「天日てんじつ」はよくわからない。母さんに聞いても、「そのうち分かるわ」としか答えてくれなかった。解せない。


 ……余談だけど、特殊技能スキルは鑑定?みたいなヤツで判明するらしい。それを受けるのはいつでもいいし、受けなくてもいい。お金が掛かるかかるからね。


 まあ、そんなことはどうでもいい。今日は土曜日で、夏澄かすみ遊ぶ戦う約束をしている日だからな。楽しみだ。


 夏澄のフルネームは黒金夏澄くろがねかすみ。黒く長い髪(一部は白い)に透き通った灰色の瞳が特徴な同い年の幼馴染だ。


 夏澄とは乳児の頃からの付き合いで、3歳頃からは一緒に強くなるための特訓をしている。しかし、最近はあまり一緒に特訓をすることができていない。理由を夏澄に聞いたら、「はなよめしゅぎょうをしてるの!」と言われた。「はなよめしゅぎょう」って何だろう?今度母さんに聞いてみよう。


 そんなことを考えていると、ピンポーンというインターホンの音がした。


「はると~、あそびにきたよ!」


 夏澄が来た。約束の時間よりも少し早いな。

 約束していた時間は午前8時だが今は午前7時47分。13分も早い到着だった。

 ……夏澄は隣の家に住んでいるので、早く行こうと思えば行くことができるけどね。


 俺は玄関に移動し、鍵を開ける。


「鍵を開けたから入っていいよ」


「は~い。おじゃまします!」


 相変わらず元気だな~。その元気さが羨ましいよ。


 4歳の頃に認定こども園(幼稚園と保育所の機能や特徴をあわせ持っている施設)の先生と母さんが話している内容を偶然聞いてしまったことを思い出し、そう思った。


   ◇


 俺は、お迎えの時間になっても母さんが来ないので園内を歩き回っていた。


「玄関にいるかなー」


 玄関にいるかもしれないと思い、玄関へ向かう。


 予想通り母さんがいたが、何やら先生と話していた。俺はその話の内容が気になってしまい、良くないと思いつつも少し離れたところでこっそりと聞いた。


――ここでの陽翔の――様子――どうですか?――思ったことを――正直に話してい――ただければあり――がたいです。」


 途切れ途切れに聞こえるが、母が言ったことの中に俺の名前が出てきたことは分かった。


「そう――ですね……。一言――で表すなら、――他の子と比べて――少し冷めた――――ような雰囲気があって、子どもらしくない子、ですかね」



 ……俺って冷めている人だと思われてたんだ……。



 話の内容が内容だけに心にくるものがある。ショックを受けた俺は、それからの話の内容を頭に入れることができなかった。


 それからいつも通り夏澄と一緒に帰宅する。夕食をとってから夏澄が家に帰る前に、俺のことを慰めてくれたことにグッときた。


 その時の夏澄は天使に見えた(今も天使に見えるけどね)。俺は精神的ダメージを受けたことを隠していたのだが、それに気づいた理由は謎だが。


   ◇


 こんなことがあったので、俺はなるべく明るく元気で子どもらしい子どもになろうと努力した。


 その結果、表面上は取り繕うことができるようになった。内面は変わらなかったけど。


「はると~!は・る・と‼︎わたしのお話ちゃんときいてる?」


「ご、ごめん!少し考えごとをしていて聞いてなかった」


 回想にふけっていたら、頬を少し膨らませている夏澄に怒られてしまった。……すごい可愛いからいくらでも見てられるなぁ。


「もう~!もういっかい言ってあげるから、こんどこそちゃんときいてね!」


 俺らの休日はまだ始まったばかりだ。


   *


「はると~、きょうはもぎせんがある日だよ!」


 目が覚めたら何故か夏澄がいた。


「もう7時だよ!ねぼう、ねぼう!」


「えっ、もうそんな時間なのか!急がなきゃ!」


 慌てながら思ったのは、俺の幼馴染がめちゃくちゃ可愛いということだった。




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 近況ノートに、天日陽翔の幼馴染である美少女の「黒金夏澄」のイメージ画像を載せました!

 URLを貼っておくので、是非見てください!

 https://kakuyomu.jp/users/nulla/news/16817330662281366891

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