タカナシ怪奇譚 帰って来る……
タカナシ
「帰って来る……」
こんばんはタカナシです。
実は私が住む鴨川市ではタカナシという苗字はそれなりに有名なのです。
昔の領主様からあやかった名前とかで、タカナシが溢れています。
タカナシ姓はそれだけで鴨川では古くからある家ということになるのですが、そんな家になると曰く付きのアイテムが1つや2つはあるもので……。
※
我が家には何度人にあげても返って来るものが2つ存在します。
1つは日本人形なのですが、この人形を母が誰かにあげると、なぜか必ず帰ってくるのです。
自分で歩いて帰ってくる訳ではないのですが、相手が調子が悪くなったから、とか、急に引っ越すことになったとか色々な要因で必ず戻ってくるのです。
ですが、特に被害がある訳でもない、かなり安全な人形でただただ家に戻ってくるだけなんですよ。
問題なのはもう1つの方なんですが、そちらは祖母から頂いた着物らしいのですが、こちらも必ず戻ってくるのです。
それも、相手が亡くなったり、火事になったりと不吉なことばかり。
そして、その着物が無い間は、我が家にも色々な不幸が訪れたそうです。
偶然だとは思いますが、私もその片鱗を体験したのです。
あれは、もう10年以上前のことですが、家のリフォームの為、着物を含めた荷物を外に預けていたときのことでした。
比較的病気になりにくい私は謎の高熱(後に盲腸と判明)で倒れました。
それ自体は特に問題もなく、点滴を打ち、5日間ほどの入院で回復しました。
ですが、今度は母の肺に影が見つかり、急遽大きな病院に検査入院になりました。
その頃にはリフォームもなんとか終わり、家にあの着物も戻って来ていたのです。
すると、母の肺の影はやはりガンでしたが、初期も初期、よく見つけて貰えましたねと言われるくらいのもので、少ししてから手術し、今も母は元気に過ごしています。
家族二人が着物がない間に急に倒れ、戻ってきた途端、回復するというのは、やはり手放してはいけないのだなと、母と2人を青ざめたのを今でも憶えています。
着物と人形は今でも我が家に厳重に保管されていますが、いつか、またこの家から出たらどんな厄災があるのか不安ではありますが、着物と人形、この2つがある間はなぜかやたら幸運に恵まれるのですよ。
母は自身のことについてものすごく運が良いですし、私は私に関わった人がどんどん運が良くなってます。
ある意味では鴨川のパワースポットかもしれないですね。
最後に、着物が無い間の我が父ですが、何事もなく、一人ピンピンしておりました。
タカナシ怪奇譚 帰って来る…… タカナシ @takanashi30
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ネクスト掲載小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます