第4話
さ~て、これからだぞ。
次は……、浅井・朝倉攻めだ。
一乗谷城の戦いもしくは、刀根坂の戦いだな。
もうね、4ヶ月単位で出兵するのは止めて欲しいよね。出費が凄いことになってる。兵士も疲れが見え始めているよ。
そうそう、大和は俺の知行になった。これは、歴史通りだな~。
4~5年早いけど。
「確か、前に浅井軍に裏切られて撤退したんだよな~」
「金ヶ崎の時の話ですな。あの退き口は、生きた心地がしませんでした」
光秀さん。
「今回は……、浅井・朝倉の連絡が取れないようになっているので、奇襲はないですかね?」
「そう願いたいモノですな」
転生時期を選べるのであれば、『金ヶ崎の退き口』前を選びたいな~。お館様は、即時撤退を選んだけど、あの場面は、罠張って誘い込む場面だと思う。
それに、姉川の戦いだ。包囲するなり、退路を断てば、浅井・朝倉の首も取れたと思う。世界大戦の知識のある俺ならば、負け戦も覆せるかもしれない。
まあ、これから歴史改変しよう。
配置につくけど、大きな戦いはない。
数日後、暴風雨が襲って来た。
お館様から、呼び出しを受ける。全員だな。
「機会を見定めるように。見逃すんじゃねぇぞ」
「「「はい?」」」
分かってんのは、俺だけかな?
◇
「佐久間軍、全員準備してね~。何時でも動けるようにね~」
「殿? 外は、暴風雨でしかも夜中ですぞ? 兵を休ませないのですか?」
「朝倉軍が、動きそうなのよ~」
家臣は、渋々納得してくれる。俺は、暴風雨の中、兵を進めた。
途中で、お館様の近衛兵と合流した。"馬廻り衆"だな。
「お館様! 手勢が少な過ぎます。うちの部下も使って~!」
「おお! 信盛! 良く来たな! 行くぞ~!」
お館様は、砦を落としても討ち取らずに解放したんだ。情報操作だよね。そんで、側近の"馬廻り衆"だけで追撃ってなによ?
まあ、成功するので、誰も文句を言えないんだけどね。
それに、俺だけは叱責を受けない立場になった。
追撃戦に移行する……。
2万の軍勢だった朝倉軍は、もう見る影もない。この時代の兵士って逃げちゃうのよね。主君を見捨てると、自分の家や畑も失うと分からない人たち。
戦闘開始から6~7日で、朝倉家全滅ってなによ?
燃える一乗谷を見て思った。
「のう、佐久間殿。知っていたら教えて欲しかったんですけど?」
光秀さん以下、皆青い顔だ。これから叱責を受けるんだしね。
「お館様の本陣が動いたので、ついて行っただけなんすよ。あれは……、予想外でしたね~」
その後、皆を集めてお説教が始まった。
「あんだけ、強く命じたのに! 出撃しないとは何事だ! この出来損ないの集まりが!」
扇子で、ペシペシと家臣の頭を叩いて行くお館様。
そんで俺の前で止まった。
「信盛! そなただけは、良くついてきた……」
肩を掴んで、褒めてくれた。
この場での反論はしない。涙を流して、演出をするのみだ。
「はは~。ありがたき幸せ」
後日、地行の加増があった。
「歴史って、知っていると変えられるんだな~」
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