第3話
さて、どうするかな~。
もう武田軍が近い。浜松城は、防衛の構えだ。
小さな城は、次々に落とされている。今は、見捨てるしかない。
「ちょっと、小細工しておくか……」
俺は、部下を使って三方ヶ原方面に密偵を放った。
まあ、言い訳には使えるかな?
「武田軍が、二俣城を出ましたが、浜松城は素通りの模様!」
徳川軍が、殺気立つ。
武士の面目丸潰れなのは、史実通りだな~。敵は、徳川ではく織田だと言ってんだし。
とりあえず俺は、静かに見守った。
次の日に、家康さんが立ったよ。
「武田軍の背後を突く!」
徳川の家臣は、反対してんだな~。
そうだよね~。二万を超える軍に突撃はしたくないよね~。分かるよ。
ここで、部下が来た。
手紙を受け取る。
「家康さん。武田の動きがおかしいっす」
「んっ?」
「三方ヶ原で陣取ってるって。堀江城を落とすみたい。本陣は、まだ動いていないよ。今行くと、奇襲になんないっす。二万の軍勢に正面から当たる事になるんじゃないかな?」
「なんと? 佐久間殿は、武田の動きを掴んでおると?」
「徳川殿。佐久間どんを甘く見るなし……。織田家の古強者ばい」
平手さんが、援護してくれて軍議が終わった。
出撃はせずに、籠城になったんだ。
『これで、平手さんも死なせずに済む。徳川軍も壊滅的被害を出すこともない――はず』
でも、もうちょっと動こうか。
◇
武田軍が、尾張に入った。
それを見て徳川軍は、奪われた城の奪還だ。
まず、二俣城を取り返す。守備兵がほとんどいなかったよ。その後に、東三河と遠江の城を奪い返して行く。
特に長篠城だ。農民を味方につけないと、将来困ることになる。
「補給とかない時代なんだな~。現地調達は、農民には迷惑だよな~」
軍糧を吐き出して、農民を救って行く。この時代にはまだない施しのはずだ。
僅かに食べただけで、農民が動き出した。逞しい人たちだな。
獣を狩ったり、山の幸で飢えを凌ぎ出した。本当は、飢えて死んでいた人たち……。これで、大丈夫だろう。
武田軍は、年を越すと進軍が止まった。
そんで、そのまま甲斐に帰ったよ。
「なんだったんですかね?」
家康さんからだった。
「信玄さんが、死亡したのかな? そんで、帰ったんだと思います。甲斐の神社に密偵を送るとハッキリしますよ」
「「「えええ!? 佐久間殿は、どこまで情報通なんですか!?」」」
情報戦は、大事だよね。
のんびりしていると、将軍・足利義昭の挙兵が終わってしまう。
平手さんだけを残して、俺は帰路についた。
道中で、将軍の挙兵の報告を受ける。
宇治の槙島城だ。丁度帰り道であり、タイミングもばっちりだったな。
お館様に挨拶に行く。
「武田は、撤退いたしましたので、帰って来たっす」
「ご苦労。ちょっと、将軍を追い出すから手を貸してね」
「OKっす」
槙島城は、その日のうちに陥落した。まあ、油断しきって兵士も少なかったしね。
義昭さん……、刀取られているけど、元気でね。
秀吉の時代で貴人になるんで、そこまで頑張って生きてね。
それと、「信長を討ち取りし……」って手紙は止してね。
未来で混乱するのよ。
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