第2話

「浅井・朝倉・三好・石山本願寺・延暦寺・六角氏・甲斐の武田。上杉に毛利もだな~。後々は長宗我部もだな~。それと、将軍の足利義昭っと」


 とりあえず、日本地図を思い出しながら書いて、敵味方をハッキリさせる。

 この地図は、本来オーパーツだよね。他人には、見せられない。そして、俺の転生特典でもある。


「見事な包囲網だよね~。これ考えた奴、天才じゃね? いや、お館様が、強引過ぎたんだよな~。自然にこうなったのか~」


 まだ将軍は、京にいるけど、関係が最悪だし。悪態つき過ぎだよね。将軍家を利用しようとして、敵対されている現状は、狙ってんのかね?

 それに、大和(奈良)の松永だよね~。今頃、三好勢力が、大和の国に集結していそうだ。四国から来てんのかね?


 お館様は、一つずつ潰して行くんだけど、一手間違うと滅ぼされる可能性もあるんだ。それでも、勝ち残って行くから凄いんだよね。


「近場から行くか……」


 家臣に命令して、軍を移動させる。

 松永久秀は、挙兵はするけど動かないはずだ。嫌がらせ程度ならば、街道の封鎖を行うはずだよな。三好勢は、分からないけど。

 琵琶湖南端の城に、兵を駐留させる。まだ、移動途中と見られているはずだ。


 そうすると、武田が兵を上げたと連絡が来た。

 俺はこの後、徳川の援軍で三河に行くはずだ。

 でも、その前に……。


「佐久間殿! 松永久秀が、謀反にございます!」


「うん。そんじゃ、行こうか~。大和は、こっから近いよね」


「はえ?」



 いきなり、松永軍に襲いかかる、俺。それと、佐久間軍だ。電撃作戦だ。

 挙兵したその日に、襲われると思わないよね。移動途中の松永軍に襲いかかったのだ。

 逃げる、松永久秀。追撃部隊を出す。


 信貴山城は、まだ防備が整っていない。

 門も開いている。


「突撃~!」


 もうね、兵士は鎧すら着てないのよ。

 松永さんは、油断しきってたね。

 そのまま、信貴山城の本丸まで攻め込む。兵法なんて必要ないね。突撃のみで、この成果だ。

 そうしたら、和議の使者が来たよ。


「名器・古天明平蜘蛛を差し出すので許して~。そもそも、パフォーマンスだったのよ~。本当に裏切るつもりはなかったのよ~」


「ダメ! お館様に弁明してね」


 松永さんと久通君は、京に送られた。

 ちょっと家探しすると、出るわ出るわ。武田と内通してんじゃん。真っ黒だね、この人。その手紙も、お館様に送った。

 待っていると、お館様から連絡が来た。


『三河に行って、徳川さん家に加勢してね。信長より』


「皆の者! 遠征だ! 三河に行くぞ!」


「「「おお!」」」


 勝ち戦の後なので、士気が高いね。信貴山城の金目モノもは、全部貰ったし。

 それと茶器も、俺が貰った。

 俺の知っている歴史通りに事が起こる。そして、変えられるかもしれない。


 そう……、歴史を変えられるのであれば、まだ間に合うか?





 三河の浜松城に到着すると、徳川家康さんが待っていた。


「佐久間殿! 待っとったのよ~!」


 手を取って、挨拶してくれた。

 平手汎秀さんは、先に来ていたか。


「佐久間どん。なして遅れた?」


「ちょっと、松永さんを討伐して来ました」


 詳細を話す。

 本当は、大和の国にも背かれて、お館様は困るんだよね~。


「ふむ。将軍様と石山本願寺、武田、松永が繋がっていると……」


「合流される前に、叩き潰して来ました」


 茶器も送ったというと、平手さんは納得してくれた。一個だけだけど。

 でも本番は、ここからだ。


「平手さんを死なせない……。これが大事ね」

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