第29話 ◯◯◯◯◯◯の神の技、再び

 神崎の◯◯◯○○○によって、神のレジェンズが少しは本気になっている。


「なるほど、俺の神に対抗できるものが存在するとは………」


 神は勝負を楽しんでいる。


 初めての経験なのかも知れない。


 退屈な毎日に刺激を求める。


 それは、神崎ではないと思っていた。


「まさか、上杉 芯ではなかったとは………な。」


 神崎の右手が覚醒して、斎賀高校もようやく戦えるようになってきた。


 問題があるとすれば、神崎のスタミナだ。


 必ず、神崎の◯◯◯◯◯◯は切れる。


 それまでに、一計考えなければならない。


 答えを出すのは神崎か毛利か、アル戦では毛利の知恵が勝敗を決した。


 いや、ロバートの時も毛利一人で十ニ分だったのかも知れない。


 神を相手に知恵が役に立つのだろうか?


「はぁ………はぁ………」


 神のレジェンズには余裕がある。


 しかし、神ではない神崎には余裕がない。


(く、長く持ちそうにはない………おまけに、ヤツのほうが10倍は俺よりも優れる。どうすればいい? どうすれば………上杉ならどうする!!? 上杉なら………)


 上杉は完璧な存在だった。


 神崎はそれになることができない。


『お前は俺じゃないだろ?』


 突如、聞こえる声に神崎が錯乱する。


「う、上杉 芯!!?」


 確かに、聞こえた気がした。


『俺は無能から無意味なバスケを無理やり押し付けられた。そこには何も意味がなく、無能は感情だけをぶつけて来た。だが、お前は違うだろ? 師や憧れの存在、そんな中でバスケを学んできた。師が親身になって教えてくれた。そして、楽しさがあった。良き師、幸福な日常、楽しくやってるバスケの中で真剣に取り組んできたのなら、苦難で生きてきた俺にはたどり着けない世界へお前は行くべきだ。』


 信念、強要、執念、無能、馬鹿、そういう赤ん坊な連中は大人になっても子供に討論すら勝てず、虐待し、殺害され、法律で子供からも逃げる。


 子供の頃から親を超えた上杉には、敗北が許されなかった。


 しかし、神崎は違う。


 正しくバスケを教わり、チームを知り、氷川にも守られてきた。


 無能ではあるが、何かを背負う必要はない。


「つまり、どういうことだ!!?」


 上杉の魂が神崎の覚醒を打ち消す。


『その覚醒も見事だが、お前には負担が多すぎる。また、必勝の心も忘れろ。もっと気楽にやればいい。』


 神崎は覚醒をやめた。


 そして、半覚醒させる。


「ほぉ、半分だけ覚醒させて、◯◯を強化したか………」


 急に力を使いこなす神崎に感心する神のレジェンズ、神崎があの技を仕掛ける。


「いくぞ………」


 その技はインフィニティ・シャッフルに比べれば、遥かに劣る必殺技だ。


 無限を捨てて、一人の選手となって飛び込んでいく。


『シャムゴッド!!』


 久々に見せてくれたシャムゴッド、簡単にカットされてしまう。


「くだらん。インフィニティの世界で粗末な技が通用すると思うか?」


 なんと、浅はかな攻撃だったのか、皆がそう思ったに違いない。


 しかし、そこには知略や戦術ではない何かが隠れていた。


「これが………俺の◯◯だ………!!」


 神崎の○○○○○◯が神からボールを奪い取っていた。


 そう、かつて、上杉が見せてくれた技の一つだ。


「上杉を俺は近くで見てきた。試合以外の姿も知っている。あいつは普通の人間なのに、時間すらもコントロールしていた。それはつまり、◯◯の力だ。」


 神崎が不意に時間もコントロールし始める。


「ファール!! 神崎!!」


 神のレジェンズが少し不機嫌そうに神崎を見る。


 そんな彼に神崎がこういう。


「俺は今、◯◯に◯◯◯◯◯◯◯。」


 神のレジェンズが30%まで力を発揮する。













「馬鹿な!!? 急に負け始めたぞ!!?」




















 そう、まだ神は30%のちからを出さなくても勝てるのだ。

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