第19話 重力とインフィニティ、そして………

 重力こそが最強だと言われている。


 微弱な力では有るが、そこには星を造る力もあれば、新たな物質を生み出す力さえ有している。


 敵の動きを封じ、完封勝利が約束されたアルにとって、このような妨害を受けるのは二度目である。


「神崎………貴様、何をした?」


 神崎は身動きが取れていない。


 そんな神崎に何をしたか確かめるように訪ねてくる。


「さぁ? 俺は身動きが取れてねぇからな。何もできやしないさ。」


 真っ赤な嘘である。


 アルは笑っていう。


「ふん、どうでもいいさ。過去に同じようなことをしたやつが居た。お前もそれをしただけだろうしな。」


 それを聞いた神崎は何を言われているのか理解できなかった。


「どういう意味だ?」


 そう、神崎が対抗したように、神業のレジェンズもそれで対抗していたのである。


「つまり、貴様がやっていることは『    』であり、俺はそれをすでに知っているということ、従って、その対抗策は持っているってことだ!!」


 ただでさえ究極の能力を持っているアルが敗北を知り、己の弱点を克服した。


 強力な能力を持った人間が弱点を知り、思い知らされる。


 そう、無能ではよくあること、無能は馬鹿なことを理解できず、思い知らされるまで突っ走る。


 思い知らされてから本気を出せばいい。


 違う。


 それが大きな損失になるとバカどもは気が付かない。


 現に、バカが政治家になれば、争いは同レベルでしか怒らないとほざき出す。


 違う。


 政治家の悪性が原因だと皆が言っている。


 それでもわからない猿のような人間、しかし、アルは経験してしまっている。


 バカは死ななければ直らないように、神業のレジェンズから教えられたということだ。


「アル、神崎に勝ちたいんだろ?」


 神業のレジェンズがそれを教えていた。


「そ、そういうことだったのか!!?」


 それを知っただけではアルに打開策はなかった。


「教えてやるよ。攻略法を!!」


 そう、そして、神崎は後悔する。


 神崎が悪いわけではない。


 読み間違えたのだ。


 もし、海が神業のレジェンズの存在を報告していたら、最悪の状況を招かなかったかもしれない。


「喰らえ………これが俺の真・必殺技、『        』だ!!」


 神崎のインフィニティは『   』みたいなものであり、それを攻略するのは簡単だ。


 重力が『 』を     ように、それを妨害する。


「しかし、驚いた。まさか、そんな世界観を持っていたとは、だが、上に行くのはこの俺だ!!!」


 神崎は謝罪した。


「すまねぇ………まさか、俺と同じことをしたやつが居たなんて、完全に読み間違えた!!」


 弱気になる神崎に毛利が慰める。


「いえ、読みは完全に合っていました。しかし、上には上が居たということ、それだけです。とにかく、なんとか打開策を探すしかないでしょう。海さんの波にはもう期待できない以上、なんとかするしかありません!!」


 一度の思いつきで攻略できるほど甘くはない。


 ならば、即座に新たな策を用いるまでである。


 しかし、相手が悪すぎる。


 斎賀高校は成すすべもなく20点差も突き放されてしまう。


 どうすればいいのかと悩むが、神崎がなんとか対抗する。


 少しでも時間を稼ぐために、しかし、アルには通用しない。


 まるで無意味である。


「クソ!! どうやって勝てばいいんだ!!」


 皆が絶望しかけた時、アルのボールが何者かによって弾かれてしまった。


「な、何!!?」


 重力の前には誰一人として動けるものなど居ない。


 ならば、誰がアルを妨害したというのか?


「どうやら、                           」


 




























 斎賀高校が息を吹き返す。


「俺達はまだ、戦える!!」

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