第9話

「……ッ!」

 

 光輝く剣を持ち、空間を一歩で飛び越えて自由自在のその場を支配して移動する神様の猛攻を僕は防戦一方で防ぎ続ける。


「逃げてばっかり!」

 

 どれだけ追いかけ周り、どれだけ剣を振るっても攻撃の一切が当たらず、逃げ続ける僕を神様は苛立ち混じりに追いかけてくる。


「……ちょっとねぇ」

 

 それに対して僕は曖昧な笑みを浮かべながら神様の光輝く剣を鎌で受け止め、それを吹き飛ばす。


「よし……対魔結界、起動っと」

 

「……ッ」


 吹き飛ばされた神様が地面へと足をつけたタイミングで僕は魔法を発動。

 すべての魔法の発動を制限する対魔結界を広げる。


「……面倒な」

 

 神様は魔法によって作られた光輝く剣を強く握りしめながら嫌そうに眉をひそめる。


「そう言わないでくれよっ!」

 

 僕は神様との距離を一息でつめ、鎌を振るい、それを神様が受け止める。


「……ッ」

 

 僕と神様は互いに向き合い、武器と武器をぶつけ続ける。


「ラァッ!!!」

 

 肉体強度は僕のほうが上だ。


「……くっ」

 

 魔法が使えない今。

 僕は自身の圧倒的な身体能力で持って神様へと迫り、どんどん押し込んでいく。

 鎌が剣を叩き、叩き、叩く。

 ただひたすらに僕の鎌が神様の光輝く剣を叩き続ける。


「……ッ!?ま、まずっ!?」

 

 僕の狙いは唯一つ。

 魔法で作られた神様の剣を破壊することだ。


「ラスト」

 

 断罪の大鎌を触媒として流し込んでいた黒魔法によって神様の光輝く剣が崩壊する。


「はっ」


 魔法が使えない今、武器を持たないことは致命的だった。


「……ッ」

 

 だがしかし、武器を失ってもなお神様の瞳には色濃い闘志が漲っていた。


「まだ、負けない……ッ、裏切り者なんかにッ!」


 大鎌を構えて神様との距離を詰める僕に対して神様も負けじと手刀を作り、カウンターをしようと構える。


「よっと」


 僕は宙を舞い、大鎌を天へと掲げ。


「……ッ」

 

 神様は一矢報いろうと僕の心臓に向かって手刀を突き出す。


「ふっ……」

 

 これを待っていた。


「……え?」


 僕は掲げた大鎌を振り下ろすことなく、そのまま神様の手刀を自分の心臓に喰らうのだった。

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