第8話

 ずっと僕だけが認知出来ていた。

 いつも、いつも───いて、僕がずっとなんとかしてあげたいと思っていた相手。

 そんな僕にとっての神様に対した行った僕の挨拶に対する神様の答えは無言の行動であった。


「……ッ」


 一瞬にして僕との距離を詰めた神様は容赦なく虚空より引き抜いた光の剣を僕に向かって振るう。


「よっと」

 

 それを僕は一瞬で取り出した断罪の鎌で受け止め、そのまま強引に力任せで神様を吹き飛ばす。


「肉体強度は僕の方が上だね」

 

 地面に転がりながら僕に向かって打ち続けられる神様の魔法をすべて黒魔法で塗りつぶして消しながら僕は口を開く。


「……」

 

 神様はどうあっても僕と会話をしたくないのだろう。

 僕の言葉を無視して再び僕へと迫ってくる。


「……」


「……」

 

 自分の前に立つのは正真正銘の神様である。

真なる魔力たる神力をもつ神様であり、彼女は僕が今まで戦ってきた相手とは次元が違う。

 決して油断出来ない相手だ。


「……ふぅー」


 僕は神様と武器を交え、激しくぶつかり合う。

 神様より振り下ろさせる剣を己の手にある鎌で上手く受け流し、代わりに神様の腹へと蹴りをぶつける。

 僕の蹴りは神様が慌てて上げた右足に防がれるが、そのおかげで神様の軸足がブレた。

 風魔法を発動し、神様の足を浮かせる。


「……ッ」


 軸足が不安定となり、発動する魔法は全て僕の黒魔法によって防がれる神様は足元を掬われて態勢を崩す。


「……」

 

 僕は地面へと体を倒す神様の頭を掴み、そのまま地面へと叩きつける。


「……ッ」


「染め上げろ」

 

 そして、僕は黒魔法を発動。

 神様を塗りつぶすべく僕は黒魔法を発動させたのだが。


「無駄」

 

 神様を染め上げることは出来ず、そのまま神様が強引に僕の手の内から逃げてしまう……神様を黒魔法で染め上げるのならもっと深くつながる必要があるだろう。


「……舐めているの?」


「何のこと?」


「……後悔させるわ」


 こちらのことを鋭く睨みつけてくる神様に僕は苦笑しながら手元の鎌を回し、これからの戦闘計画を頭の中で組み上げるのだった……想像以上に相手を殺さない戦いが難しかった。

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