第2話
多くの火の手が上がる王都の中を駆け抜け、ムンド教団の連中を見つけては魔法で撃ちぬき続ける僕は学園に向かっていた……にして本当にムンド教団の人間の数が多い。
これは、すべてを殺し切るのには時間がかかる。
出来るだけ早く頭を潰したいが……急ぎ過ぎてもダメだろう。
こういう時は一歩、一歩確実に対処していくべき案件である。
「お、おっ!?……ぁ、あぁぁぁああああああああああああああ!!!」
アクロバティックな高速移動を繰り広げる僕の腕の中で悲鳴を上げるサーシャの声を聞きながら僕は突き進んでいく。
「っと!」
学園へとたどり着いた僕はここで足を止める。
「な、なんで学園に……?」
僕の手から崩れ落ち、顔面蒼白になっているサーシャが疑問の声を上げる。
「ここは王宮の次に避難所に適した場所だからね。流石に王宮は陥落しないだろうけど、ここはちょっと怪しいからね。とりあえず学園を確保して避難民を受け入れられるようにしていくつもり。クレアを探すとは言ったけど、流石にこの中で見つけるのは難しいし、それなら避難場所を作っておいてほうが良い、クレアも来てくれるかもしれないし」
学園は有事の際の避難所としての役割もある。
ここを確保しておくことには大きな意味がある。
「な、なるほど」
僕の言葉にサーシャが頷く。
「て、手伝えるところがあれば手伝いますよ!!!」
説明を聞いたサーシャが握りこぶしを作り、意欲を示す。
「うん、ありがとう。まずは学園内に侵入している敵の殲滅かな……敵の殲滅はやっておくから、サーシャは倉庫を開けておいて……場所はわかるでしょ?」
「わかりました」
「今、敵の攻撃によって退けられたせいで学園内に教師陣はいない。二人でここを避難所として機能させなきゃいけない大変だけど頑張ろうね。敵に関しては安心して、すべて潰すから」
「頼もしいですね……二人で一緒に頑張りましょう!」
「うん」
僕とサーシャは別行動をはじめ、この学園を避難所として使えるようなものにするべく動いていくのだった。
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