第13話
「おーい!これ、一番テーブルの方に届けてくれ」
「はーい」
僕はここにいる間の仕事先である酒場で仕事に従事していた。
「ミストくん!これ片付けておいてー」
「はーい」
酒場の看板娘でびっくりするくらい背が高いティーンさんに言われ、僕はテーブルの上のお皿を洗面台まで運び、ちゃっちゃと洗っていく。
今はピークであるディナータイム。
お腹をすかせた冒険者達が席に座り料理を今か今かと待ちわびている。
ちなみに冒険者とは街の人の依頼を受けて魔物を倒したり、盗賊を倒したり、まぁ便利屋みたいな感じである。
「ようっ新人か、坊主。前の兄ちゃんはやめちまったのかい?」
そんな冒険者達であるが筋肉ムキムキで体が大きく相貌もいかつく武器を持ち歩いていることから怖がれがちだが、彼らの多くは社交性に溢れ、それに加えて酒に酔っているせいかめちゃくちゃフレンドリーに話しかけてくる。
「ほーら!高い高い!」
「うわー!高い!」
現に冒険者たちがクレアに高い高いしてあげている。
僕とクレアの見た目は異質で基本煙たがれるのだが、冒険屋たちは大雑把なのか気にした様子は見えない。
「さぁ?僕はまだここに来たばかりだからね」
「おぉ、そうかそうか。可哀相にな。坊主」
「何が?」
「ここは激務なくせに賃金はクソ低いからなぁ。前の兄ちゃんもそれが嫌で辞めたんだろうよ!がっはっは!」
話しかけてきた冒険者の男は上機嫌に笑う。
店の厨房から『薄給で悪いか!』と店長の声が飛び、さらに男は笑った。
ちなみにだが、この酒場の店長は元冒険者らしくかなりの実力者なんだそうだ。
仲間が死んでしまったことを機に冒険者を辞め、酒場を開くことにしたらしい。
仲間が死んでいなければかなり高ランクの冒険者に慣れていたかもしれないそうだ。
初心者相談なども請け負っているからか、かなり儲けているそうだ。
賃金は低いけど。
ということで、元々強い冒険者であった店長は客の荒くれ者相手でも一歩も引かず立ち向かい、酒場から叩き出すらしい。
ティーンさんが絡まれたときも店長が飛んでいって見事に助けている。
信頼できそうな店長である。
賃金は少ないけど。
「いえいえ、僕は身寄りのないただのガキだから。雇ってもらえるだけで」
「そうかいそうかい!素直なガキだ!何かあったら俺らを頼るといいぞ」
「うん!そうさせてもらう」
僕はその後もお仕事を続けた。
それからしばらく。
僕は夜遅くになる前に仕事は終わらせ、帰ることになった。
ガキはたくさん寝るもんだと。
そして、頑張ったからと本来もらえる量より更に多くの賃金を貰ってしまった。
やっぱいい店長だ……うん。ごめんね?文句を言って。
僕はすっかりお眠となってしまい女冒険者の膝でぐっすりと眠っていたクレアを引き取り帰路にしたのだった。
さてはて、今日はいくつレジスタンスのアジトを潰せるかなー。
最低5つは潰したいな。
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