第二章
プロローグ
暗く、寒い閉ざされた闇夜の中。
「最近レジスタンスは動きが活発で嫌になる……」
僕は一人でため息をついていた。
レジスタンス。
彼らは現政権に不満がある人達の集まりで、貴族制の廃止と自由な政治を望んで活動している連中だ。
別にここまでならいいのだが、レジスタンスの考えの一つに宗教の自由というのが含まれている。
しかし、これは僕らが認められるような内容ではない。
十戒が一つ、崇神に反する。
レジスタンスも全員粛清対象であった。
「……にしても多すぎ」
一週間の間で僕が潰したレジスタンスの拠点の数はこれで4個目である。
しかも、これはあくまで僕個人が潰した数。
ガイア姉さんたちもレジスタンスの拠点を潰していっているので異端審問官全員が潰したレジスタンスの拠点の数は更に多いだろう。
多い。多すぎる。
ガイア姐さんたちだけでは足りず、僕が駆り出されるまでの事態となった。
ここまでレジスタンスの規模が大きくなったのは初めてである。
レジスタンスの性質上そこまで規模が大きくなることは少ないのだが、急に規模が拡大したのだ……前々から拡大の傾向があったが、ここ最近の急拡大ぶりは少し異常だ。
別に現政権に不満がある人は少ないんだけどな……絶対に裏に誰かいる案件だ。
「う……あ……」
僕が頭の中で思考をしていると、殴られ過ぎたせいでしゃべることすら出来なくなったレジスタンスの男がうめき声を上げる。
「あー、なにか話す気になった?」
自分の足元に転がっているレジスタンスの男へと視線を落とし、疑問の言葉を投げかける。
「だ、誰が話すか!この王家の犬が!」
「王家じゃなくて教会だよ。ほっと」
僕はレジスタンスの男の顔面を思いっきり殴り飛ばす。
「はぁー」
生かしておく人間を間違えた。
もっと意思が弱いやつにしておけばよかった。
失敗した……こいつの意思が強すぎて黒魔法でもその精神を簡単に飲み込めない。誰が強化しているんだよ、全く。
拷問道具がほしい。
「はぁー」
面倒。
非常に面倒。
僕はムンド教団の方を調べたいのだけど。
「……ぅ、あ」
僕はその後も3時間くらい拷問を続け、ようやくレジスタンスの男の心が折れてくれる。
本当にようやくだ。
レジスタンスの男が吐いたのは新しくレジスタンスに入った謎の男のことと、レジスタンスの拠点の位置だ。
このレジスタンスの男はレジスタンス内でも準幹部と目されているレベルの男らしく他の奴らよりも多くの情報を持っていた。
新しく入った謎の男はまたたく間に地位を登り詰め幹部にまでなったらしい。
この謎の男がレジスタンスの勢力は一気に拡大させ、拠点の数も大きく増やしたらしい。
「……」
僕の敵たる背教者たちだ。
お姉ちゃんが新しく入ったムンド教団に謎の男が入ったレジスタンス。
敵組織はどんどん強くなっている。
「……僕が学園にかまけている暇があるのかな」
爺ちゃんは変わらず僕に学園へと通い続けるよう命令してきている。
現情勢下はそこまで余裕があるようには思えないけど……爺ちゃんが背教の可能性。
いや、これは僕が探るべき事案ではないか。
教皇の一族の背教は容認する。
それがノーネームの一族と教皇の一族にある取り決めの一人であり、それがあるからこそ、教皇は教会内で絶大な権限を持つのだ。
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