第108話 王国を抜けて帝国へ
ひょんな事から、王国の王女と知り合いになったカインとラックは、王女であるハイジェーン・アルプスとともに帝国へと向かう事になった。
「カイン君、ラックちゃん、ジェーンをよろしくね。私もついて行ってあげたいけど、ギルドの仕事が多すぎて手を離せないのよ。」
「アタシとカインなら大丈夫にゃ。大船に乗ったつもりで待ってるにゃ。」
「ラック・・・それって微妙に言葉の使い方がまちがってるぞ?」
「そうかにゃ?まあ何でもいいにゃ。」
「バニーさん、まかせてください。無事にジェーンを帝国まで連れて行きますよ。」
ギルドマスターのバニーが馬車を用意してくれて、カインとラックが御者席に座り王女のジェーンとメイドのメアリーを帝国まで運ぶ流れだ。王国内では王位継承問題でジェーンが命を狙われているので、留学という形で帝国へと向かう事になっていた。
馬の手綱をもったカインはラックと共に帝国へ向けて出発した。馬車の中にはジェーンとメアリーが乗っている。
「帝国はどんな美味しいモノがあるのか楽しみにゃ。」
「そうだな~。まさか王女と知り合いになって帝国に行くなんて全く予想外だったよな~。」
「これも運命にゃ。カインがわかるように言えばテンプレ展開にゃ。だけどハーレムはダメにゃ。カインの相手はアタシ一人にゃ。」
「たしかにラックの言う通りだよな~。寄付する事でチート能力が貰えて、キレイな女性と仲良くなったり、トラブルに巻き込まれるなんて、まんまラノベの主人公だよな~。こんな小説があったら、このチート野郎め。リア充だな。って絶対思うよ。」
「きっとカインは、これからもいろんなトラブルに巻き込まれるにゃ。だけど安心するにゃ。アタシがついてるから大丈夫にゃ。」
「ラック・・・。ああそうだな。これからもよろしくな。とりあえず帝国だな。王国とは違うだろうけど、俺とラックならうまくやれるさ。帝国内に入るまでは油断できないから、油断せずに行こう。」
「わかったにゃ。前方はアタシにまかせるにゃ。アタシの目と耳でどんな異常もすぐに発見してみせるにゃ。」
「なら俺は気配察知で、左右と後方を注意するよ。」
そうして、カイン達は帝国へと馬車を進めていった。ジェーンとメアリーを乗せた馬車は、襲撃される事もなく、無事に帝国内へと入った。
ジェーンの存在がバレないように王都を出発し、馬車も誰の馬車かわからないように偽装していたのが功を奏した。
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「明日には帝都に着くんですよね?」
「そうだな。長かった旅もようやく明日で終わりだな。」
「姫様。油断は禁物ですよ。帝国内でも何があるかわかりません。現に今日だって盗賊に襲われたじゃないですか?」
「カインとラックが撃退してくれたから大丈夫よ。」
「アタシとカインの敵じゃなかったにゃ。」
「そうだな。盗賊って言っても1人だったしな。」
帝都の近くで最後の夜営をしていたカイン達は、帝都に着いてからの事を話しあっていた。
「帝都に着いたら学校に行くんだろ?」
「はい。私はここで色々学ばないといけません。王国の為にも。カインとラックはどうするの?」
「俺達は冒険者だからな〜。まあ依頼を受けながら金を稼ぐ感じだな。」
「ダンジョンがあるなら行きたいにゃ。それに帝国にある美味しいスイーツも食べ尽くしたいにゃ。」
「ふふ。週末は私も家に戻ります。美味しいスイーツのお店教えて下さいね。」
「もちろんにゃ。ジェーンも学校で聞いたらアタシに教えてほしいにゃ。」
「もちろんです。週末は一緒にスイーツめぐりしましょ。」
「それはいいにゃ。カインも一緒にみんなでスイーツパーティーにゃ。」
「そうだな。学校は闇の日が休みなんだろ?一応俺たちは光の日と闇の日は休みにしてるんだ。冒険者活動は火から風の日までって決めてるからな。」
「なら大丈夫ですね。」
そうして、カイン達は翌日無事に帝都へと到着した。ちなみに帝国はサウザンドという名前だ。帝都もそのままで、帝都サウザンドという名前である。
帝都の入り口には、さすが帝国の中心とだけあって多くの人が順番待ちの列に並んでいた。こういう時、貴族とかなら優先的に中に入れたりするのだろうが、今はまだ、王国の姫という身分を隠して行動しているため、カイン達は大人しく列の最後尾に並び順番が来るのを待った。
そして・・・
「ようやく着いたな。無事についてよかった。町の中に入ったら借りてるっていう家に向かえばいいのか?」
「いえ、家の場所がわからないので、一度ギルドに行ってくれますか?バニーがそこのギルドマスターに伝えてくれてると思います。そこで家の場所とか鍵とかもらえると思うので。」
「なるほど。わかった。」
「帝都も王都と同じような感じにゃー。賑わってるにゃー。」
「そうだな。王都に負けず人も多いな。帝国の中心だし依頼もたくさんあるだろ。ダンジョンもできれば黄亀ダンジョンが近くにあればいいんだけどな。」
カイン達は帝都の街中をあちらこちらに目をやりながらギルドを目指したのだった。
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