第33話 神の奇跡 I 『天空の城ラ君』

12歳になったカインは、安定の生活を終え、他の街に行く事を決めた。1年と6カ月の間に、多くの魔法を習得し、経験を積んだカインは、ラックとともに新しい神の奇跡を開放する為に教会に来ていた。


「どれぐらい寄付するにゃ?」


「今日もらった金貨20枚全部寄付しようと思ってるよ。」


「大金だにゃ。カインは太っ腹だにゃ。」


「これからはこれ以上に寄付していかないと神の奇跡は開放されないからな。今は1回のダンジョン攻略で金貨20枚稼げてるけど、これ以上稼いでいかないと今後、新しい神の奇跡の解放が難しくなってくる。今まではその為の修行期間で、今回は、一旦終了って感じだな。」


「そこまで考えてたのかにゃ。さすがカインだにゃ。」


カインは寄付箱に金貨20枚を放りなげて女神に祈った。


(女神様、長い事寄付できなくてごめんなさい。俺もようやく12歳になりました。他の街にも行って、この異世界を楽しみたいと思います。今まで以上に稼ぐ力も身に付いたはずです。しっかりと継続して寄付はしていきますので、新しい神の奇跡よろしくお願いします。)


『寄付金額が256,000ガルを突破しました。神の奇跡Iが開放されます。』


「うまくいったかにゃ?なかなか寄付しない女神様が怒って神の奇跡がもらえなかったって事はなかったかにゃ。」


「ああ、ちゃんと神の奇跡Iが解放されたよ。」


「よかったにゃ。ちょっと心配してたにゃ。にゃら早く帰って恒例のステータスチェックをするにゃ。」


神の奇跡が開放されると、家に帰って詳細の確認するのがカインの楽しみだった。お祈りを終えたカインは足早に家へと戻った。


「さて恒例のステータスチェックの前にこれまた恒例の予想タイムだ。ラック君。君はどんな神の奇跡だと思うかね?」


「どんなキャラにゃ。普通にするにゃ。」


「いいじゃんかよ。楽しみなんだから。ちょっとぐらい乗ってくれてるいいだろ?」


「カインの相手は大変だにゃ。しょうがないにゃ。付き合ってやるにゃ。」


「オッホン。ではラック君。君は今回の奇跡はどんな奇跡だと思う?」


「アタシは、転移魔法だと思うにゃ。これから違う街にいるならここに戻ってくる転移魔法はすごく便利にゃ。」


「なるほど。たしかに便利だ。だとすると戦闘民族君Ⅲか?」


「ピンクのドアを使うロボットも自由に好きな所にいけるにゃ。」


「うむ。たしかにその通りだ。」


「カイン先生はなんだと思うにゃ?」


「俺は・・・そうだな。やっぱり新しい街に行くにも新しい仲間がほしいな。やっぱりキレイな女性だな。神の奇跡で言うと、プリンセスとかかな。仲間になってくれるなら戦えなくてもどうでもいいしな。」


「カインにはすでにアタシがいるにゃ。アタシというモノがありながら浮気するにゃ?」


「いやいや浮気も何もお前とは何もないだろ。」


「アタシが一番初めにカインと出会ったから、これから女性が増えても正妻はアタシにゃ。これは譲れないにゃ。」


(いやいやラックさん。正妻って・・・それに、お前猫じゃん。さすがに猫とは結婚できねぇぞ。いやまあ一緒に居て楽しいし助かってるけども。それとこれとは話が違うだろ!?異世界なんだし、仮にラックが人型になれるっていうならワンチャンあるだろうけど・・・)


「何バカ言ってんだよ。」


「アタシは本気にゃ。カインだってアタシの魅力にメロメロのはずにゃ。」


「はいはい。」


「にゃっ!?それは信じてないにゃ。いいにゃ今に見てろにゃ。いつかぎゃふんと言わせてやるにゃ。」


「はいはい。それより、そろそろ詳細を確認していいか?」


「わかったにゃ。この話は一旦保留にゃ。」


カインはラックとの話を切り上げて、新しい神の奇跡を確認した。


名前:カイン

年齢:12歳

種族:人

神の祝福:アルファベット(寄付金額280000ガル)

※次回512000ガルで神の奇跡解放

神の奇跡:A『如月花院君』、B『名探偵君』、C『戦闘民族君』、D『未来の猫ロボット君』、E『世紀末覇者君』、F『動く城君』、G『美少女戦士君』

H『戦闘民族君Ⅱ』、I『天空の城ラ君』


能力:C

成長率:SS


レベル:25

体力:C

魔力:B

筋力:C

知力:B

敏捷力:C

耐久力:C

精神力:C

運:B


I『天空の城ラ君』

「空から女の子!」そんな感じから物語が始まる名作。天空に浮かぶ城を探すのだが・・・。40秒で支度した少年は、無事に天空に浮かぶ城を見つけるも、敵に城が乗っ取られてしまう。天空の城を守る為、滅びのまじないを使うのだった。全世界が叫んだあの言葉をみんなも叫ぼう。要は極大消滅魔法『バース!』が使えます。但し・・・全魔力を消費するのでお気を付けを。


「極大消滅魔法かにゃ。これはすごそうだにゃ。アニメだったら城が崩れ落ちるにゃ。これでカインも大魔法使いにゃ。」


「いや・・・まあたしかにピンチの時に使えるならありがたいのかもしれないが、全魔力消費だぞ?敵を倒しても俺も気絶するじゃん。誰かとパーティを組んでたら使う可能性もあるけど、今は使えないだろ?最悪相打ちじゃん。ラックがいても一人じゃ俺を担いで移動できないだろ?」


「それもそうにゃ。・・・極大消滅魔法みたかったけどしょうがないにゃ。使える時まで我慢するにゃ。」


「まあ使う時がない方がありがたいけどな。使う時って絶対ピンチの時だし。できれば安全安心に行きたい所だ。」


「何があるかわからないにゃ。そうにゃ。ここで試し打ちしてみるといいにゃ。どんな魔法かわかってたらいざという時に安心にゃ。それにここなら気絶しても問題ないにゃ。」


「いやいや。問題ありまくりだよ。気絶してもこの家自体が消滅するだろ!?」


「そうだったにゃ。極大消滅魔法だったんにゃ。忘れてたにゃ。」


そんな事を話しながら、カインは新しい神の奇跡を開放したのだった。


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