第32話 ダンジョンとともに1年6カ月・・・
ダンジョンで寝泊まりできる事を知ったカインの生活は、ダンジョン攻略が中心になった。元々日本人のカインは、週休2日にあこがれていた。前世では、ニートだったのが、金を稼ぐために休みはほとんどなかったのだ。
10歳児が週休2日で週に5日働いてる時点でブラックかもしれないが、ここは、異世界で養ってくれる両親がすでにいないカインは、働かないと生きていけないのだ。
その為、カインはダンジョンに潜る。地下11階から先に進む事もできたが、地下20階のボスを倒さないと、帰還する為には、地下11階まで戻ってこないといけなくなる。
地下1階から地下10階まで進むだけど、生活に必要なお金は稼ぐ事ができるので、カインはしばらくダンジョン生活を続けていた。
2泊3日でダンジョンで魔物を倒し、ダンジョン攻略が終われば1日休む。休んだ次の日は、森でゴブリンを狩ったり、購入した魔法書を試したりと充実した異世界生活を送っていた。
1年半程、そんな生活を続けるとカインは12歳になった。その間、新しい神の奇跡は開放していない。魔法書に武器・防具などの装備品、ポーション類などのアイテム類に食料品など、寄付以外にかかるお金も多いので、貯まったお金は主に魔法書代に消えて行った。
先ほども言ったが、カインの生活は充実していた。なぜなら、魔法の習得は異世界に来たカインにとってはとても楽しいモノであったからだ。たしかに神の奇跡はチートだ。だがしかし、どんな能力なのかは事前にわからない。それに比べて魔法は、魔法書を買えば、予定通りに新しい魔法、強い魔法を覚える事ができる。
「カインは、毎回毎回同じ事の繰り返しで飽きないのかにゃ。」
「全然。安定してるし、毎週毎週新しい魔法を覚える事ができるから楽しくてしょうがないよ。それに、同じ事って言うけど、ダンジョンはちょっとずつ下の階にも行ってるし森でもオークとかも倒してるだろ?」
「魔法バカだにゃ。でもそろそろ次の神の奇跡を開放しないと、女神様に怒られるにゃ。カインは全く寄付してないにゃ。」
「そうだな・・・たしかにラックの言う通りかもしれないな。でも大丈夫。ようやく目標にしてた魔法が手に入ったんだ。レベルはまあそれ程強い魔物を倒してないからあんまり上がってないけど、それでもレベル25にはなった。そろそろ次の段階に進もうと思う。」
「そんな話始めて聞いたにゃ。どういう事にゃ。」
「ラックには言ってなかったからね。毎週毎週新しい魔法書を買い続けて1年と半年、さすがに中級の魔法書は2週間に1冊のペースでしか買えなかったけど、おかげで初級魔法の詠唱魔法は、火、水、風、土、光、闇、氷の7種類全て3つ覚える事ができた。中級魔法だって、火と水と光の3種類は覚える事が出来た。だからそろそろダンジョンを攻略して、冒険者ランクをCにあげる。ランクがCに上がったあら他の街を見てみようと思う。」
「他の街にゃ?カインは一生、この街にいるのかと思ったにゃ。」
「そんな事ないよ。折角異世界に来たんだ。もっと色んなモノを見てみたいさ。王都に行って城も見てみたいし、お姫様にだって会って見たい。悪徳貴族をぎゃふんといわせて見たいし、異世界の定番ドラゴンにも会ってみたい。その為にがんばって色んな冒険者からも話を聞いたし、魔法も覚えてレベルを上げた。全てこの世界を楽しむためだ。」
カインは、この1年と半年で、他の冒険者と仲良くなることに成功していた。無能のカインと呼ばれていたのはもう昔だ。今では、黒猫を連れたカインとよく呼ばれている。猫好きの冒険者にとって、ラックは癒しだ。自然とカインに話しかける人が増えてカインも交流を重ねて行った。
一緒にパーティを組むような人には出会っていないが、冒険者と交流を重ねる事で、
自分の住んでる国の事を色々と知ったのだ。
ソロでやっていくためには、実力がどうしてもいる。カインは、魔法屋のばあさんと仲良くなって、様々な魔法書を購入する事に成功していた。先ほども言ったが、火、水、光の中級魔法をカインは覚えた。
他の中級魔法の詠唱魔法はまだ覚えていないが、最低目標は達成したとして、他の街へ行く事を決めたのだ。12歳になったっていうのも理由の一つだし、魔法書ばっかり買って、寄付を全くしていないのも理由の一つだ。
「とりあえず、今回のダンジョン探索が終われば久しぶりに女神様に寄付をして、新しい神の奇跡を開放しようか。」
「久々にゃ。楽しみにゃ。」
(1年と半年ぶりだもんな。たしかに久しぶりだ。だけど、これから寄付金額はドンドン上がってくる。今のうちに稼ぐ力を身に着けておくのは間違いないはずだ。かなりの期間が空いたけど女神様はわかってくれるはずだ。)
ダンジョン地下10階のボスである、ゴブリンリーダー含む、ゴブリン10体を倒したカインとラックは、ギルドで魔石を売却した。
受け取った金貨20枚を握りしめて、新しい神の奇跡を開放する為、教会へと向かうのだった。
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